6.為替
<現状>
円相場は、日本と米欧の中央銀行の金融政策の方向性の違いに着目した円売り圧力が強まったことから、主要通貨に対し下落しました。円の対米ドルレートは、前月末の139円台からじりじりと弱含み、昨年11月以来の安値水準となる144円台まで下落しました。米景気の底堅さを示す堅調な経済指標を受けて、FRBの利上げが続くとの見方が強まったことなどから円売りが続きました。円の対ユーロレートは、前月末の149円近辺から大きく下落し、157円台で終了しました。ECBの利上げ継続観測から日欧金利差の拡大が意識され、ユーロ買い・円売りが強まりました。また、円の対豪ドルレートも、豪州準備銀行が2会合連続の利上げを実施したことを受けて、大きく下落しました。
<見通し>
円の対米ドルレートは、FRBの利上げが当面続くものの、最終盤に入りつつあるとみられることから、もみあいながら緩やかに上昇する展開を予想します。先行きは米国の景気とインフレが鈍化するため、FRBの利上げ停止と日銀の金融政策修正が意識され、円が小幅に上昇する展開を想定しています。円の対ユーロレートは、レンジ内でもみ合いながら緩やかに上昇すると予想します。ECBの利上げ継続がユーロのサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が円の買い材料となるとみています。また、円の対豪ドルレートは、もみ合う展開を予想しています。相対的に堅調な豪州景気がサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が意識されるためです。
7.リート
<現状>
グローバルリート市場(米ドルベース)は、米国のソフトランディング期待が高まり、投資家のリスク選好姿勢が強まったことから、上昇しました。米国リート市場は、FRBが政策金利の見通しを年内にあと2回の利上げを見込む水準に修正したことなどから長期金利が上昇したものの、堅調な米国景気を示す経済指標を受けて反発しました。一方、英国やアジアのリート市場は長期金利の上昇を受けて軟調に推移しました。日本リート市場も小幅に下落しました。S&Pグローバルリート指数(米ドルベース)のリターンは前月末比+2.6%となりました。また、為替効果がプラスに寄与し、円ベースのリターンは同+6.1%となりました。
<見通し>
米国リート市場は、FRBの金融引き締め長期化観測や商業用不動産に対する融資厳格化が意識され、当面不安定な動きになることが見込まれます。ただし、米国経済は、FRBの大幅な利上げを受けても比較的軽微な減速にとどまるとみられ、底堅く推移する見込みです。過度な景気悪化懸念が和らげば、米国リート市場は緩やかに上昇するとみています。欧州リート市場は、ECBによる金融引き締めの継続から当面上値の重い展開を想定します。日本リート市場は、景気回復の動きが続くものの、日銀の金融政策の不透明感から当面レンジ内でもみ合うとみています。アジア・オセアニアリート市場は、景気回復に伴いシンガポール中心に緩やかに上昇するとみています。