(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。2023年6月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。

5.企業業績と株式

<現状>

S&P500種指数の6月の予想1株当たり利益(EPS)は233.6で、前年同月比▲2.8%でした。前月比は+0.3%と5ヵ月連続のプラスとなりました。一方、TOPIXの予想EPSは158.8、前年同月比は同+2.5%でした。前月比は+1.1%と3ヵ月連続のプラスでした。

 

6月の米国株式市場は大きく上昇しました。FRBが年内にあと2回の利上げを示唆したものの、米景気に対する楽観的な見方が株価を押し上げました。NYダウは前月比+4.6%、S&P500種指数は同+6.5%、NASDAQ総合指数は同+6.6%でした。日本株式市場も海外投資家の大幅買い越しの継続や円安の進展、堅調な米株市場などを背景に大幅高となりました。日経平均株価は前月比+7.5%、TOPIXは同+7.4%でした。

 

<見通し>

S&P500種指数採用企業の増益率(純利益ベース)は4-6月期が前年同期比▲5.7%(除くエネルギーセクターで同▲0.1%)、7-9月以降は増益転換が予想されています(6月30日。リフィニティブ集計)。ただ、先月に比べて、景気減速がやや意識されて全般的に小幅な下方修正となっています。一方、TOPIX採用企業の23年4-6月期の純利益は前年同期比+27.9%と予想されており、好調を維持しそうです(7月3日。3月期決算企業で除く金融、QUICK集計)。

 

今後の米国株式市場は、粘着質なインフレへの対応から強気一辺倒とはいかない展開が想定されます。とは言え、2024年以降のインフレ低下や金融政策の転換を見越した金利低下などから、徐々にレンジを切り上げていく展開が予想されます。一方、日本株式市場では高値警戒感が取り沙汰されており、上値が重くなる可能性があります。ただ、長期的な観点に立てば、今後の株価純資産倍率(PBR)の改善期待や業績面から見た割安感があります。スピード調整はあっても引き続き堅調な相場展開が続くとみられます。

 

EPSと株価指数の推移(米国)

 

EPSと株価指数の推移(日本)
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