(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2023年6月30日に公開したレポートを転載したものです。

日本企業の成長を阻害する要因

日経平均が史上最高値をつけた1989年末、すなわちバブルのピークは企業の投資意欲も旺盛で資金不足のピークでもあった。

 

そこからバブル崩壊⇒経済縮小に平仄を合わせるように企業の資金不足は解消され、そして90年代半ばの日本版金融危機を経て、金融機関に頼れなくなった企業は自らファイナンス機能を維持するようになる。すなわち、内部留保をひたすら貯め、減価償却の範囲内でしか設備投資を行わない。この投資不足が日本経済および日本企業の成長を阻害する要因となった。

 

この企業の資金余剰のピークは2003年。まさに日本株がバブル崩壊で長期下落トレンドを辿り、最初に底を入れたタイミングである。その年の5月にりそな銀行への公的資金注入が決まった。

 

バブル崩壊の過程とは、すなわち不良債権処理の歴史である。その不良債権処理に一定の目途がついた象徴がりそなへの公的資金注入だった。だから、そのタイミングで株価はいったん底を入れた。

 

企業の資金余剰もそのタイミングでピークをつけたのは、上記の文脈に照らせば偶然ではなく必然だと思えるだろう。金融機関のリスクを避けるため、自らキャッシュを貯め続けてきたが、少なくとも1番厳しい局面は過ぎた。

 

リーマンショック前は「プチバブル」的な景況感のよさもあって、企業の貯蓄行動もそこからいったんは緩和に向かった。しかし、リーマン危機で再び金融不安が台頭すると、企業はまたキャッシュをため込むようになる。しかし、足元ではようやくそれも解消に向かっている。

 

さまざまな要因があるだろう。ここでは、ひとつひとつの要因を列挙するのは割愛するが、この企業の資金余剰が、低成長・株価不振の原因で、いまやそれが解消されようとしていることを、はっきりと視覚的に確認されたい。

 

図表3は、右軸の日経平均の目盛りを反転させたものである。

 

出所:日銀の資金循環表のデータからマネックス証券作成
[図表3] 企業の資金過不足の推移(青)と日経平均株価の動き(オレンジ)※日経平均株価の目盛りを反転 出所:日銀の資金循環表のデータからマネックス証券作成

 

まさに日本株の浮沈が企業の資金不足/余剰に連動していることがわかる。

 

その理由が冒頭で述べた「成長期待」だ。投資無くして成長なし、である。企業がカネを貯める一方で、投資をしなければ成長の期待は高まらない。日本はゼロ成長……これが日本株が低評価に甘んじていた理由である。

 

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