(※写真はイメージです/PIXTA)

たとえ高所得であっても、年金の正しい知識を持ち合わせていなかったために「老後貧困」に陥るケースは少なくないと、株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役の山中伸枝FPはいいます。長年インテリア雑貨などの販売業を営んでいた田畑夫妻(仮名)。ピーク時は年商億超えも、夫の健二さんが「今となっては後悔しかありません」と力なくつぶやくワケを、山中FPが解説します。

田畑夫妻のもとに舞い込んだ“1件の朗報”

そのようななか、田畑夫妻にある報せが。幸いなことに、町おこしのプランによりショールームの買い手がつきそうというお話でした。

 

健二さんはバブルの頃の値段が頭から離れないようですが、商店街の一角にあるお店を希望の高い値段で売れる可能性は低く、ここは町おこしの話に乗ったほうが良いのでは……と気持ちが固まりつつあります。

 

商売をたたみ、今手元にあるお金などを合わせると、5,500万円ほどは工面ができそうです。今後は100歳まで年金と資産の取り崩しでやりくりをするプランを考えていきます。何歳まで生きるかはだれにも分かりませんが、ここは一旦年下の君子様が100歳になるまでの35年間を見積もります。

 

5,500万円を35年で割ると、1ヵ月あたり約13万円使えます。年金は、1ヵ月あたり7万6,000円ですから、合計20万円は確保できます。現在の売上をベースとした生活費よりは少なくなりますが、気持ちがすでに商売から離れているのであれば、思い切ってこれまでとは異なる生活スタイルを考えても良いかも知れません。

 

今回紹介した田畑夫妻の例は、環境こそ違えど類似のケースが非常に多いものです。一度上げた生活水準を落とすことは想像以上に難しく、現役時代に稼いでいた人ほど、引退後の収入ギャップについていくことができず「いつの間にかお金がない……」という状況に陥ってしまいます。

 

年金暮らしを効率良く行うためには、収支を精査したり、資金の有効活用を考えたりすることが大切です。そのためにも、まずは過去を切り離し、「今の満足度をいかに高めるか」について考えることが必要だといえます。

 

 

山中 伸枝

株式会社アセット・アドバンテージ

代表取締役

 

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