高所得→年金生活に潜む「老後貧困」の落とし穴
現役時代に高所得であったとしても、老後は年金頼みになるケースはいくらでもあります。しかし、年金の正しい知識を持ち合わせていなかったために、高齢期になって貧しい暮らしを強いられてしまうことも少なくありません。
今回紹介する田畑健二さん70歳(仮名)、君子さん65歳(仮名)夫婦も、そんな「老後貧困」の危機に怯える典型的な例です。年々体力が衰え健康状態にも不安を抱えていますが、年金が少ないために商売を引退できず「生活のために」死ぬまで働かなければとため息をついています。
田畑夫妻は長年インテリア雑貨などの販売業を営んできました。主に健二さんが仕入れを担当し、君子さんが販売を担当、文字通り二人三脚で店を切り盛りしてきました。
バブル期は海外から高価な家具の輸入も手がけたりして、たいそう羽振りも良かったそうです。当時は、おしゃれなショールームが話題となり、タウン誌にも取り上げられるなど人気店となりました。ピーク時は年商が億を超えるなど、お子さんがいなかったこともあり、夫婦そろって海外へ頻繁に視察旅行に行くなど、充実した日々をおくっていました。
しかし、その商売にも陰りが見え始めます。田畑夫妻の店舗は、都心から少し離れたベッドタウンにあります。通勤圏内で庭付き一戸建ての家が持てると30代夫婦が多く引っ越してきましたが、20年もすると子ども達が地元を離れ、すっかり高齢者の街になってしまいました。今では、家具の買い換えもなく、おしゃれなインテリア雑貨を楽しみたいというニーズも減ってしまいました。
賑わっていた商店街も今では人通りが少なく、広々としたショールームは、倉庫のような状態です。特に、最近はインターネットで物を買うことに抵抗を感じる人が少なくなり、在庫を抱えるだけ経営が悪化するのだそうです。
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