(※写真はイメージです/PIXTA)

誹謗中傷が、社会問題となっています。ときに人の命をも奪いかねない誹謗中傷は倫理上問題があるのみならず、刑法上の罪に該当して逮捕される可能性もある行為です。では、誹謗中傷で逮捕された事例にはどのようなものがあるのでしょうか? 本記事では、誹謗中傷で逮捕された事例とともに、誹謗中傷に対してとり得る法的措置について、弁護士がくわしく解説します。

「逮捕」「有罪」「在宅起訴」とは?

誹謗中傷での逮捕について解説する前に、そもそも逮捕とはなんであるのか解説しましょう。逮捕=有罪(前科がつく)と思っている人も少なくないようですが、実はそうではありません。

 

「逮捕」とは?

逮捕とは、容疑者の身体を一時的に拘束することです。誤解される場合がありますが、逮捕をされた時点ではあくまでも罪を犯したと「疑われている」状態でしかなく、有罪が確定したわけではありません。

 

また、罪を犯した疑いがあるからといってどのような場合でも逮捕ができるわけではなく、現行犯逮捕など一定の場合を除き、逮捕をするには裁判官の発した逮捕状が必要です(刑事訴訟法199条)。

 

そして、「被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」には逮捕状が発せられず、逮捕することができません(刑事訴訟規則143条の3)。つまり、たとえ罪を犯した可能性が高い場合であっても、逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合には逮捕されないということです。

 

逮捕されると、警察署の留置施設などで最大48時間身柄が拘束されたのち、検察官に身柄が送致(送検)され、そこでも最大24時間身体拘束を受けることがあります。その後、検察官が事件の起訴・不起訴を決定します。

 

「在宅起訴」とは?

在宅起訴とは、逮捕や勾留がされないまま事件の捜査が進み、検察官によって起訴されることをいいます。起訴がされると刑事裁判に進み、有罪無罪が決定されます。なお、略式起訴の場合、裁判期日は開かれません。逃亡や証拠隠滅などの恐れがない場合には、逮捕されず在宅起訴にて捜査が進むことがあります。

 

逮捕=有罪ではない

ここまで解説したように、逮捕されるかどうかと、有罪になるかどうかは別の問題です。逮捕されず、在宅起訴をされた結果有罪となる場合もあれば、逮捕されたものの不起訴とされる場合などもあります。

 

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