不動産会社が伝える「表面利回り」はあてにならない
前回の続きです。そうはいっても、「高額だが立地がいい土地」の空室のリスクはゼロではありません。しかし、このような人気の土地では、最近は無くなりつつある入居時の礼金を受け取ることが可能な場合が多々あります。
礼金は家賃1か月分ですから、7万円×9戸で63万円。このプラスαの金額を空室対策の広告費に回すことができるのです。
満室時を基準とした利回りを「表面利回り」といいます。また、中古物件などですでに入居者がいる場合の利回りを「現状利回り」といいます。一般的な不動産業者が新築物件の仲介をする場合は、この表面利回りを武器に営業を仕掛けてきます。ところがこの利回りは空室を考慮していないので実はあてになりません。
アパートはいつ空室が出るか分かりません。たとえ1年間満室が続いたとしても、その後の半年は空室が出続けるかもしれないのです。そのためアパート経営に於いて重要なのは、1%程度の表面利回りの差ではなく、空室になってもすぐに人が入る土地であること。つまりは立地のいいところに物件を持つことに尽きるのです。
では、アパート経営に最適な立地条件とはなんでしょうか。それは単純ですが日本で一番人が多いところです。ベストは前述しましたが東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のいわゆる東京圏の1都3県ということになります。
日本でもっとも「人口減少率」が少ない場所
アパート経営のメリットは、なんといっても20年、30年と長期間に渡って安定した収入を得られることです。それゆえ立地条件としては、今現在の人口が多いだけでなく、今後も長期間に渡って人口が減りにくい場所である必要があります。
ところが、現在の日本は人口減の時代に突入しています。国土交通省が開催している長期展望委員会では、2005年に1億2777万人だった日本の人口が2050年には1億人を割り、9515万人になると推測しています。25.5%も減ってしまうのです。
地域別に見ると、北海道が43.3%。東北が39.8%など地方の減少率の多さが目立ちます。日本三大都市圏である近畿圏でも28.1%と決して低くはありません。しかし東京圏は、14.4%。二番目に低い中部圏が21.1%ですから、圧倒的に人口が減少しにくいエリアといえます。
この「一強他弱」の状況は、日本の全人口に対する各地域の比率を見ても明らかで、2005年に27%だった東京圏の比率は2050年には32.5%までアップすると推測されています。このような数字から1都3県が、長期的視点で見てアパート経営の安住の地だと判断することができます。