「家賃補助」を利用できる会社員が多い東京圏
東京圏をおすすめする理由は、経営の安定性だけではありません。家賃を高めに設定できるので、より多くの収入を期待できるのですが、その理由には次のようなことも関係しています。
都会の家賃が高いことは皆さんお分かりだと思いますが、それでも人が入る大きな要因のひとつには法人数の多さにあります。国税庁のデータ(2012年)によると、国内の法人数は271万1290社。
そのうち東京都が54万5511社(20%)。
神奈川県が17万3011社(6.4%)。
埼玉県が12万6866社(4.7%)。
千葉県が10万1545社(3.7%)。
合計94万6933社(34.8%)あります。全国の法人の3分の1以上が1都3県に集中しているのです。
つまり法人数が多いということは、そこで働く人(社員)が集まるので、アパートの需要が高まり家賃が上昇する。しかし会社員には「家賃補助」が出るケースも多く、会社の家賃補助を利用すれば、より高い家賃設定でも入居者を集めることが可能になります。
東京圏の家賃が高いことは、総務省統計局の住宅.土地統計調査(2008年)を見るとよく分かります。全国の賃貸物件の平均家賃は5万4500円です。
しかし、東京都の平均は7万7597円で2万円以上高い。
神奈川県は6万8842円。
埼玉県は6万146円。
千葉県は5万8914円。
この数字から東京圏ならば総じて高めに設定できるといえます。
ちなみに日本5大都市のひとつといわれる福岡市を含む福岡県の平均家賃は、全国平均を下回る4万6038円ですから、いかに東京圏に人口が集中しているかが分かります。
「地方」ではアパート経営のための融資も通りにくい
私のところへはじめて相談に来る人には、少しでも借入金を少なくしようと、地価の安い地方の土地でアパート経営をしたいと言う人が本当に多い。しかし、地方にはそもそも賃貸物件に住む人が少ないし、今後はさらに減っていきます。
また、地方になればなるほど家賃は安く設定しなければなりません。ところが土地を安く手に入れても建物代は都会も地方も同じ。数千万円単位の資金投入が不可欠です。そのうえで家賃を安く設定するのは至難の業ではないでしょうか。もともと土地を所有している地主でなければ難しいでしょう。このような地主でさえ、1棟当たりの収益はほとんどが年間数十万円程度です。つまり「土地を遊ばせておくくらいなら小遣い程度でもお金が入った方がマシ」という感覚で経営しているのです。
いくら安く物件を手に入れても、毎月の家賃収入がローン返済額を下回っていれば経営は成り立ちません。地方のアパート経営は、成功パターンが描きにくいと言わざるを得ないでしょう。
そのことは金融機関もよく承知しています。土地の評価が低いほど安定的な経営は難しいと判断され、融資審査が通りにくい傾向があるのです。融資の受けやすさという意味でも、東京圏はメリットがあるといえます。