前回は、「東京圏」のアパート経営が地方に比べ低リスクである理由を説明しました。今回は、一般人が「格安な土地情報」をを手に入れられない理由を見ていきます。

土地の情報は「売買を得意とする不動産会社」に流れる

ここからは東京圏の中でも、より費用対効果の高い土地を手に入れる方法を解説していきましょう。まずは、そもそも土地の売却は一般的にどのような流れになっているか、から説明します。

 

皆さんが土地を売ろうと考えたら、最初にどこへ相談しますか? 多くは駅前などにある大手不動産会社ではないでしょうか。特にテレビコマーシャルで名前がよく知られている財閥系の会社が人気のようです。

 

しかし、このような会社では、土地の売却依頼が来ても自社で買い取ることはほとんどしません。とにかく右から左のスピード重視で、仲介手数料を得るために買い取り先を探すのです。

 

しかも、その買い取り先候補は、皆さんのようなエンドユーザーではありません。何よりもスピード重視なので、ローンが通るかどうか分からない素人ではなく、現金で買い取ってくれる、またはすでに事業資金としてローンが通ることがほぼ確定している業者、つまり土地の売買を得意とする不動産会社へ話を持っていくのです。

 

格安な土地情報が、一般に出回ってこないという理由はここにあります。土地情報は不動産ポータルサイトのほかにも、不動産業者のみが閲覧できるネットワーク「レインズ」などがあります。しかし、物件売却の仲介依頼を受けた業者は、これらで情報公開する前に、まずこのようなつながりのある不動産会社に情報を流すのです。

 

遺産相続などでは、売主としては土地をすぐに現金化したいことが多いものです。いつでもいいから誰か土地を買って下さい、ということはほとんどありません。ですから土地売買には、すぐに動けて資金力のある専門の不動産屋に話がいき、その他の不動産会社は仲介料を売主からも買主からも受け取る「両手」を狙うことになります。

 

そのため、情報をもらう業者になるためには、自社で物件を買い取って直接仲介料を支払うことになります。また、まれに建築業者には一般の買主を探してきて、仲介手数料を受け取らず、そのまま渡すことがあります。このような業者にも、さまざまな土地売買の情報が集中します。こうした建築業者は仲介手数料ではなく、建物の利益を見込んで行うケースが多いようです。

土地の問題解決から「商品化」までが不動産業者の役割

買い取りをする業者の目的の多くは、転売です。プロ同士の土地売買には、さまざまなリスク要因が潜んでいます。土壌汚染があったり、地中に廃棄物がある場合もあります。もちろん買い取った土地は、境界線の確定や古家の解体などを行い、更地にして問題がないことの確認や、場合によっては修復をします。そうやって一般市場でも売れるようにきちんと「商品化」してから利益を乗せ転売、または建売り住宅を建てて売却するのです。

 

一般の人に直接土地情報が流れない理由はこうした点にもあります。このような過程を経ないと、素人が問題のある土地をつかんでしまう可能性が高まってしまうでしょう。

 

相続関係の場合は、紹介を受けた買取り業者が親族間の中に入って意見を聞き、交通整理をするケースもあります。複雑な権利関係の調整や、ハードな交渉が必要になります。最初に売主から相談を受けた大手不動産会社が、自社で買い取りをしないのは、このような業務に長けていない、ということも理由のひとつです。皆さんが目にする土地情報の多くは、こうした過程を経た後の土地となります。

本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法

サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法

田脇 宗城

幻冬舎メディアコンサルティング

広がる格差、上がらない給与、将来に備えた生命保険や家のローンに子どもの教育費・・・。働けど働けど出費は増える一方なうえに、将来に対するお金の不安も拭えないという30代のサラリーマンは多いでしょう。 年収がプラス30…

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