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ローンを活用して不動産を購入…相続対策になる場合
では次に、ローンを組んで不動産を購入した場合です。亡くなった人がローンを組んでいた場合、そのローンの金額は相続財産の評価額から差し引かれます。つまり、ローンはマイナスの相続財産と考えることができます。
先ほどの例で、1億円の預金のみを持っている人が、5,000万円のローンを組み、自己資金の5,000万円とあわせて1億円の不動産を購入した場合、財産の評価額は、預金の5,000万円と不動産の7,000万円(1億円の70%)からローンの5,000万円を差し引いた金額である7,000万円です。これは1億円の預金で不動産を購入したときと同じ金額になり、もちろん相続税の金額も同じ370万円です(図表パターンC)。
これが、ローンを組むことで相続税対策が有利になることはありませんとお伝えした理由です。それでは、最後にローンを組むことで有利になるケースをみていきます。
相続税対策として、ローンを組むことを考えるべきケースは、ずばり自己資金だけでは購入できない高額な不動産を購入する場合です。
具体例で計算してみます。1億円の預金のみを持っている人が、5,000万円のローンと自己資金1億円をあわせて、1億5,000万円の不動産を購入したとします。このときの相続財産の評価額は、不動産の1億500万円(1億5,000万円の70%)からローンの5,000万円を差し引いた5,500万円です。そして相続税の金額は145万円です(図表パターンD)。
さきほどの具体例で1億円の預金を持っている人が亡くなった場合の相続税は1,040万円、1億円の不動産を持っている人が亡くなった場合の相続税が370万円でした。これと比較してさらに税金が安くなるということがお分かりいただけると思います。
今回は、シンプルな例を使って相続税対策としての不動産ローンの活用について確認してきました。不動産ローンを活用すべきかどうかは、人それぞれではありますが、不動産を購入することで、相続税が安くなることは事実です。
ただし、実際に不動産を購入するときは、売買時に手数料や不動産取得税などが発生したり、1億円で購入した不動産が大きな値崩れを起こしたりする可能性もあります。1,000万円の相続税を安くするために、不動産投資で2,000万円の損失を被ってしまっては本末転倒です。あくまで不動産の購入や不動産投資はリスクのあるものであることを認識することが重要です。
大きなお金を動かす際は、様々な視点から検討し、時には金融機関や不動産屋、税理士などの専門家に相談することも有効だと思います。相続税の対策を考えておられる方は、不動産を活用する方法を一度考えてみてはいかがでしょうか。
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