(※写真はイメージです/PIXTA)

「相続税対策としてローンを組んで不動産を購入しませんか?」。このような謳い文句を耳にしたことはないでしょうか。本当に相続対策なんかになるのか……訝しく思う人も多いでしょう。西口孟志税理士事務所の西口孟志税理士は、「ローンを組んで不動産を購入しても、相続税対策に有利になることは基本的にはない」といいます。ただし「例外はある」といいます。具体的なシミュレーションも交えて解説していきます。

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    1億円の財産…「預金」で持つか、「不動産」で持つか

    相続税の節税を考えるときに、よく使われる手段として不動産の購入があります。さらに、ローンを組んで不動産を購入することで、より効果の高い節税が期待できるといった話を耳にされたこともあるのではないでしょうか。

     

    結論を申し上げますと、「不動産を購入すること」で相続税が安くなるのは本当ですが、「ローンを組むこと」によって相続税対策に有利になることは基本的にはありません。ただし、例外的にローンを組んで不動産を購入した方が有利なケースもあります。その仕組みについて、具体的な金額を用いて説明していきます。

     

    まず、相続税は相続財産の評価額を基に計算されるのですが、この評価額の計算の仕方は、財産の種類によって決められています。預金や現金については、その金額がそのまま評価額とされますが、不動産の場合、購入した金額ではなく、別の評価方法で計算することとされています。細かい計算方法の説明は省きますが、通常、不動産の相続税評価額は購入金額の60%~80%程度になることが多いです。これを生かすことで相続税の対策になるというのが、不動産を購入することの効果です。

     

    極端な例ですが、1億円の預金のみを持っている人が亡くなった場合、1,040万円の相続税が課税されます(図表パターンA。以降、法定相続人2名で基礎控除4,200万円のみとして計算します)

     

    一方で、1億円で購入した不動産のみを持っている人が亡くなった場合、不動産の評価額を購入金額(市場価格)の70%程度で想定すると、相続財産の評価額は7,000万円(1億円の70%)になり、相続税は370万になります(図表パターンB)

     

    このように同じ1億円でも預金で保有しているか、不動産で保有しているかという違いだけで、相続税の金額に大きな差が生じます。また、この不動産を賃貸に出すことで評価額をより低く計算することが可能になります。1億円で購入した不動産ということは、市場価値が1億円ということです。市場価値と相続財産の評価額との乖離を利用して、節税対策として活用されています。

     

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    本連載は、株式会社住建ハウジングが運営する「TOKYO@14区」内の記事を転載・再編集したものです。

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