日本は「戦後50年かけて作り上げた供給能力」を持て余している…「少子化」と「ボロボロの経済」の関係性

日本は「戦後50年かけて作り上げた供給能力」を持て余している…「少子化」と「ボロボロの経済」の関係性
(※写真はイメージです/PIXTA)

いま、日本が抱える重大な問題のひとつ、「少子高齢化」。少子高齢化による総需要の減少によって、日本には、デフレ、人手不足、中小企業の低収益化、年金問題、貧富の差の拡大、財政の悪化といったさまざまな問題が引き起こされてきました。

深刻な「需要不足」一体どこから来るのか?

そしてこの事は、「人口増加率の低下(働き手の減少)による生産性の減少は、生産過程を機械化する事によって代替可能である」といった反論についても同じ事がいえるのです。現在の日本経済は、けっして人手不足による供給不足が問題なのではありません。需要不足による、供給能力の低下が問題になり始めています。

 

日本は現在、戦後50年かけて作り上げてきたこの供給能力を、需要不足によって持て余している状態です。そして、この素晴らしい供給能力を我々経営者は、たとえ目先の利益を削ってでも少しでも長く維持しようと長年努めてきました。日本で消費者物価が常に下がり続けている(デフレスパイラル)のは、実はこのためなのです。

 

もし、人手不足により早急な機械化が必要なほど供給不足の状態であれば、市場では逆にインフレが起きていてもおかしくありません。しかし実際は、人口減少による需要不足によって、日本経済は世界に誇るべき供給能力を、現在、維持できなくなりつつあるのです。

 

その一番良い例といえるのが、2020年の新型コロナウイルス感染症が流行した際に起きました。皆さんも記憶に新しいと思いますが、その頃の日本は、新型コロナウイルスの影響で一時的にマスク不足に陥りましたが、民間の努力のかいもあり、ものの2、3ヵ月で国民に十分な量のマスクが行き渡るようになりました。

 

つまり、目の前に需要さえあれば、いつでもそれを供給できるだけの力が、まだ日本には残されているのです。

 

それでは、この需要不足の原因は一体どこから来るのでしょうか? それが、少子高齢化によるお客さんの減少、つまり総需要が毎年減少し続けている事から起こってくる事なのです。

 

この少子化による需要の減少という話は、現在やっと少しずつですが、テレビやネット、国会などで取り上げられるようになりました。しかし、その深刻度については、多くの経済学者やアナリストからはまだまだその実感が足りていないように感じます。

 

中には、安倍晋三政権時の上辺だけの好景気を信じて、少子化は景気とは全く関係なく、反対に日本経済にとって素晴らしい事なのだと信じている有名な経済学者や政治家までいる始末です。

 

しかし、私のような現場で実際のお客さんと接している企業の経営者からすれば、もうすでに日本経済はかなり深刻な状態に陥りかけています。

次ページ少子化によって、今現場で起きている事

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『財政再建したいなら移民を3000万人受け入れなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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