日本は「戦後50年かけて作り上げた供給能力」を持て余している…「少子化」と「ボロボロの経済」の関係性

日本は「戦後50年かけて作り上げた供給能力」を持て余している…「少子化」と「ボロボロの経済」の関係性
(※写真はイメージです/PIXTA)

いま、日本が抱える重大な問題のひとつ、「少子高齢化」。少子高齢化による総需要の減少によって、日本には、デフレ、人手不足、中小企業の低収益化、年金問題、貧富の差の拡大、財政の悪化といったさまざまな問題が引き起こされてきました。

少子化によって、今現場で起きている事

これは私が実際に経験した事ですが、2015年から2018年の比較的景気が良いとされていた時期、私は苦しくなりつつある自社の経営環境を見直すため、ある立地の良い不動産を手放す事にしました。

 

すると、その不動産の噂を聞き付けた今までに面識のなかった複数の不動産業者から、毎日その物件についての問い合わせがあり、いろいろな不動産業者と会うたびに不動産価格が吊り上がっていったのです。

 

しかし、その当時の私の会社は、世間の景気の良さとは全く逆の状態で、毎年毎年、会社の売上が下がり続け、いつも会社の会議の場は暗い雰囲気に包まれ、とても取引銀行がいうような景気の良さを実感できるような状態ではありませんでした。しかし、その時の不動産業者の反応を見て、私は初めて世間では本当に景気が良いのだという事を実感したのです。

 

しかし、よくよく考えてみると実際の商売が儲かっていないにもかかわらず、リニアモーターカーや五輪に付随する建設や、日銀の金あまり政策のため、首都圏近郊の不動産価格だけが吊り上がっている状況が、果たして本当に日本経済にとって良い事なのか? 景気が良いとされていた日本も、実は実体経済のほうはボロボロなのではないのか?と考え始めたのです。

 

私は当時、不特定多数の一般の方を対象としたサービス業を営んでいましたが、2000年代初め頃からきれいに毎年一割ずつ会社の売上が落ち込んでいくようになりました。

 

[図表2]世代別人口構成のグラフ

 

はじめは、お客さんがどこか規模の大きな同業他社に取られているものだと思っていましたが、ある時気が付くと、経営している店舗の周辺の飲食店などのお客さんまで減り始めているのに気が付きました。ちなみに店舗の場所は、名古屋の中心地にある住宅街の駅の周辺で、けっして過疎化が起こるような立地ではありません。

 

そこで自社のお客さんを詳しく調べてみると、私が仕事を始めた1990年代の頃は、来店されているお客さんの中心は20代から50代くらいの働き盛りの人達ばかりでしたが、2000年代辺りから仕事をリタイアされた年金生活者の数が増え始めていたのです。

 

ちょうど世間では、団塊の世代が定年を迎え始めた時期でした。そして、それに伴い店舗の客単価とお客さんの総人数が減り始め、店全体の売上が減少し始めていたのです。

 

 

大山 昌之

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『財政再建したいなら移民を3000万人受け入れなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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