5.相続人の中に後継者がいない場合は?
経営者の子どもなどの法定相続人にあたる人物の中に後継者がいれば、相続によって事業承継できます。しかし相続による事業承継ができないという状況もあるでしょう。その場合、売却による引き継ぎや、会社の清算を検討しなければいけません。
5-1.第三者への売却
出資持分は株式と同じように売却できます。そのため相続人の中で後継者が決まらなければ、第三者へ売却する『第三者承継』を用いるのもよいでしょう。
特例有限会社の出資持分の売却は、株式譲渡に制限を設けている株式会社の株式譲渡と同じ手順で行われます。株式会社では取締役会の決議で決定されますが、特例有限会社では原則として取締役会を設置できません。
そのため出資持分譲渡の承認は、株主総会の普通決議で行われます。また売却価格は『時価純資産額+2~5年分の営業利益』で算出されるケースが多いでしょう。
参考:中小企業に注目される第三者承継。会社売却で得られるものとは
5-2.会社を清算する
相続人が後継者にならず、第三者への承継も行われない場合には、『会社清算』の手続きを行い有限会社を解散します。ただし会社清算の手続きは多岐にわたるため、これまで事業に携わっていなかった相続人が行う場合、難易度が高いでしょう。
また、他の相続財産も含め、引き継ぐ権利を放棄する『相続放棄』を行う方法もあります。相続放棄し相続人がいなくなったとしても、財産債務の管理は必要です。
そこで検察官や会社の債権者といった利害関係者の申立により、家庭裁判所が『相続財産管理人』を選び、清算手続きを行います。
参考:会社売却の主な手法や会社清算との違い。メリット、デメリットも紹介
6.事業承継の方法を十分に検討しよう
有限会社の出資持分は、株式会社の株式と同じものとみなされています。そのため出資持分の譲渡による事業承継が可能です。経営者の子どもといった相続人が後継者であれば、相続によって承継できます。
ただし相続税がかかる点に注意しましょう。場合によっては多額の納税資金の用意が難しく、事業承継が進まない可能性もあります。資金を用意しておくことに加え、事業承継税制の活用を検討し、準備を進めておくとよいでしょう。
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