総務省と経済産業省による『経済センサス活動調査』によると、日本には367万もの会社があり日本標準産業分類で大きく20の業種に区分されます。業界ごとに、取り巻く環境はさまざま。それぞれの業界のトップ企業と、給与事情についてみていきましょう。今回、焦点を当てるのは「銀行業」。

銀行業界…平均給与が高いものの、業界内の給与格差は小さい

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、会社員(男女計、学歴計、産業計)の平均給与は月31万1,800円(所定内給与額)、賞与も含めた年収は496万6,000円です。

 

一方、銀行業の平均給与は月収で37万2,400円、年収で672万2,000円。会社員平均を大きく上回る業界です。

 

企業規模(大企業:従業員1,000人以上、中企業:従業員100~999人、小企業:従業員10~99人)による給与差をみていくと、大企業の給与は月収で中企業の1.15倍、小企業で1.22倍、年収では中企業の1.22倍、小企業の1.38倍、というのが平均値です。

 

一方、銀行業界でみていくと、大企業の給与は月収で中企業の1.04倍、小企業で1.17倍、年収では中企業の1.06倍、小企業の1.22倍。銀行業界は企業規模による給与差が比較的小さい業界といえるでしょう。

賞与アップは全業界最低…

帝国データバンクが1,095 社からの有効回答をまとめた『2023年夏季賞与の動向アンケート』によると、 2023年夏のボーナスは、企業の37.4%で「1人当たり平均支給額が前年より増加する」と回答。企業規模が大きいほど、「増加する」の割合が高くなる傾向にあるそうです。

 

そんななか、銀行業含む金融業は、「賞与なし」が調査10業種(「その他」含む)で唯一0.0%である一方、「1人当たり平均支給額が前年より増加する」の回答は8.3%と、10業種で最も低い割合となりました。

 

他の業種はコロナ禍からの回復により、大きく業績が上振れしたケースが多く、賞与に反映されるカタチになりました。「賞与はあるものの増加はしない」の割合が多いということは、金融業はコロナ禍といった世界的な危機の影響が少なかったともとれ、安定した業界であることが伺えます。

 

一方で、業界的に成長幅が少なく、給与も固定化されやすいという見方も。前出の通り、従来の預金・融資中心のビジネスモデルでは天井が見えている状況。さらなる成長のためには、他の業界と同じようにグローバル化やDXの波に乗り、新たな収益モデルの構築が急がれます。

 

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