大手4社が市場のほとんどを握るビール業界
国税庁「酒のしおり」で公表された酒類課税数量(国税局分)をみると、20年のビール類の課税数量は179万キロリットルでした。1キロリットル=1,000リットルですから、途方もない数字です。しかしこの課税数量の推移をさかのぼってみると、2010年には292万キロリットル、2000年は538万キロリットルでしたので、年々ビール類の売り上げが減少していることがわかります。
反対に売り上げを伸ばしているのは、「第三のビール」が含まれるリキュール類。「ビール」に比べて酒税が低いため、手に取りやすい価格帯に抑えられている上、ビールと比べても遜色ない味わいを実現している点が評価されているのでしょう。
歴史を振り返ると、日本にビールが伝わったのは1860年代。1872年にはアメリカ人によって国内初の醸造所が創設され、数年後には大阪で日本人による初のビールの製造・販売がスタートしました。
1877年にはサッポロ、1888年にはキリン、1892年にはアサヒがビールの製造を開始し、1899年に葡萄酒の製造を始めたサントリーは、1963年にビール業界に参入しました。1980年代までは業界4位だったアサヒビールは、87年に投入した「スーパードライ」の大ヒットで一気に首位争いに食い込みましたが、その後、業界のシェア争いに大きな変動は起きていません。
国内ビール系飲料市場シェアは「キリン」「アサヒ」がそれぞれ30%台、「サントリー」「サッポロ」がそれぞれ10%台となっており、この4社が市場のほとんどを握っているという状況です。まずは、有価証券報告書から4社の売上高をみていきましょう。
1位「サントリーホールディングス」2兆9,701億円
※第14期有価証券報告書
2位「アサヒグループホールディングス」2兆5,111億円
※第99期有価証券報告書
3位「キリンホールディングス」1兆9,894億円
※第184期有価証券報告書
4位「サッポロホールディングス」4,784億円
※第99期有価証券報告書
上記の数字は国外での売り上げや、ウイスキーや清涼飲料水など、ビール以外の飲料も含む全体の数字ですので単純な比較はできませんが、売上高では「サントリー」が首位に立ちました。
次に大手4社の給与事情をみていきます。1位のアサヒグループホールディングスは1,229万円、4位のサッポロも867万円と、定説通り「ビール会社は高給取り」であることが明らかになりました。
1,229万7,579円
(従業員:164人、平均年齢:41.3歳、平均勤続年数:11.9年)
■サントリーホールディングス
1,140万117円
(従業員:1,213人、平均年齢:45歳、平均勤続年数:19.7年)
■キリンホールディングス
942万6,260円
(従業員:914人、平均年齢:42.49歳、平均勤続年数:15年)
■サッポロホールディングス
867万4,000円
(従業員:118人、平均年齢:46.8歳、平均勤続年数:20.6年)