「モノづくりの国・ニッポン」をけん引した電機メーカー
戦後日本のモノづくりをけん引し、「Made In Japan」ブランドの確立に大きな役割を果たした電機メーカー。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどの「白物家電」から、趣味性の高いカメラやゲーム機、オーディオ機器などの「黒物家電」、さらには、電子部品やインフラまで幅広いジャンルで活躍したため、「総合電機」メーカーと呼ばれました。
日本製の電化製品は「壊れにくく、使いやすい」ことで人気を博し、電機メーカーは自動車メーカーと並んで日本の輸出の両輪を担いました。しかし、電機メーカーの黄金時代は1990年頃でいったんの終焉を迎えます。バブル崩壊の後は、技術力を身に付けたアメリカや東アジアの新興メーカーに価格競争で太刀打ちできなくなり、事業の選択と集中、リストラを余儀なくされるようになったのです。
2000年代に入ると、日本電気はパソコン事業をレノボグループに、東芝は白物家電事業を中国の美的集団に売却したほか、シャープは台湾の鴻海精密工業の傘下に入るなど、再編が進みました。直近では、東芝の上場廃止に向けた動きが進むなど、日本の電機メーカー界隈には何かと暗いニュースが目立ちます。
それでも、ソニーは自動車のホンダと組んで新型EVの開発に乗り出し、また得意のゲーム事業強化のためにアメリカのゲームソフト企業買収を進めるなど、一部では前向きな動きも見られます。23年春季労使交渉における賃上げ要求に対しても、電機12社は満額回答を示し、定期昇給とベースアップを合わせて3%台後半の賃上げとなる見込みです。
まずは、直近の有価証券報告書から、大手8社「ソニーグループ」「日立製作所」「パナソニック」「三菱電機」「富士通」「東芝」「日本電気」「シャープ」の売上高をみていきましょう。
1位「ソニーグループ」11兆5,398億円
※22年度有価証券報告書
2位「日立製作所」10兆8,811億円
※第154期有価証券報告書
3位「パナソニック ホールディングス」8兆3,789億円
※第116期有価証券報告書
4位「三菱電機」5兆36億円
※第152期有価証券報告書
5位「富士通」3兆7,137億円
※第185期有価証券報告書
6位「東芝」3兆3,616億円
※第184期有価証券報告書
7位「日本電気」3兆3,130億円
※第185期有価証券報告書
8位「シャープ」2兆5,481億円
※第129期有価証券報告書
売上高では「ソニーグループ」が11兆5,398億円で首位に立ちました。2位は10兆8,811億円で日立製作所、3位には少し差が開いて8兆3,789円のパナソニックホールディングスが続きます。
次に、合計売上高が48兆円超の大手8社について、給与事情をみていきましょう。1位のソニーグループは1,100万円超、8社の中ではもっとも平均給与額が少なかったシャープでさえも700万円超と、抜群の知名度に名前負けすることのない好待遇であることがわかります。
■ソニーグループ
1,101万8,955円
(従業員:2,445人、平均年齢:42.4歳、平均勤続年数:16.4年)
■東芝
926万703円
(従業員:3,712人、平均年齢:46.1歳、平均勤続年数:19.8年)
■日立製作所
915万9,908円
(従業員:28,672人、平均年齢:42.9歳、平均勤続年数:19.3年)
■パナソニック ホールディングス
908万7,894円
(従業員:1,347人、平均年齢:43.6歳、平均勤続年数:18.3年)
■富士通
878万9,575円
(従業員:35,092人、平均年齢:43.7歳、平均勤続年数:19.1年)
■日本電気
842万8,687円
(従業員:22,036人、平均年齢:43.5歳、平均勤続年数:18.1年)
■三菱電機
827万3,671円
(従業員:35,136人、平均年齢:41.3歳、平均勤続年数:16.9年)
■シャープ
708万8,000円
(従業員:5,231人、平均年齢:45.6歳、平均勤続年数:22.4年)
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