世界大会3位入賞ボディビルダー「筋肉、骨、免疫ですらタンパク質でできている!」…“タンパク質がいかに重要か”を解説

世界大会3位入賞ボディビルダー「筋肉、骨、免疫ですらタンパク質でできている!」…“タンパク質がいかに重要か”を解説
(※写真はイメージです/PIXTA)

生きるうえで「食事」は必要不可欠。摂取した栄養素は長い道のりを経て、身体のために機能します。本連載では、ボディビル世界大会で3位に入賞した経験もあり、日本体育大学体育学部の教授を務める岡田隆氏の著書『世界一細かすぎる筋トレ栄養事典』から、「食事×筋トレ」を主軸とした「理想のカラダづくり」について解説します。

「筋線維は3つのタンパク質で構成される」

収縮タンパク質

筋収縮で力を発揮する「収縮タンパク質」には、「ミオシン」と「アクチン」の2種類がある。筋原線維を構成するタンパク質の60%を占めるのがミオシン。細長いミオシン分子が束になることで、1本の太い「ミオシンフィラメント」を形成している。

 

アクチンも細い線維状のタンパク質で、「トロポニン」「トロポミオシン」とともに「アクチンフィラメント」を構成している。この2つのフィラメントが、ATPをエネルギーとして利用し、筋収縮を起こしている。

 

[図表5]「収縮タンパク質」の仕組み

 

調節タンパク質

筋収縮の調節役となっているのが「調節タンパク質」。

 

「トロポニン」と「トロポミオシン」の2種類がある。筋収縮においては「カルシウムイオン」が必要だが、その調節に担っているのがトロポニン。2本のアクチンの間に並んでおり、カルシウムイオンと結合することで、ミオシンとアクチンをつなげてくれる。

 

トロポミオシンはアクチンフィラメントの溝に沿って走っており、フィラメントの構造を安定させている。

 

[図表6]「調節タンパク質」の仕組み

 

構造タンパク質

筋肉には約10種類の構造タンパク質があり、筋原線維の位置や形状、弾力性、伸展性を維持している。中でも重要なのは「タイチン/コネクチン」で、25,000個以上のアミノ酸から構成され、通常のタンパク質の50倍もの大きさがある。

 

骨格筋における量はアクチン、ミオシンの次に多く、第3の収縮タンパク質ともされる。この巨大なタイチンが、ミオシンフィラメントの位置を安定させている。

 

[図表7]「構造タンパク質」の仕組み

「筋トレとは骨格筋の遺伝子が働き出す″スイッチ″である」

筋肥大は、1本1本の筋線維が太くなることで生じるが、それは筋原線維の主役である「収縮タンパク質」のアクチンやミオシン、そして、「調節タンパク質」「構造タンパク質」が増加することを意味する。これらの合成には、それを促す″刺激″が必要だ。

 

細胞の中には、多くのタンパク質分子が存在する。ここに環境変化が起こると、細胞は生存のためにタンパク質を合成する。

 

その際には細胞核にある「DNA(デオキシリボ核酸)」の遺伝情報を、「mRNA(メッセンジャーRNA)」という形でコピーし、その情報をもとにアミノ酸を結合していき、必要なタンパク質をつくっている。

 

DNAという設計図をもとに、アミノ酸という建材から、アクチンやミオシンなどの家を建てているわけだ。

 

ここでは最初の環境変化が重要となるのだが、筋肉においてその代表格が、激しい運動。トレーニングは、激しい運動に対応するべく遺伝子に″働きなさい″とスイッチを入れることなのだ。

 

トレーニングを行うと、力学的および化学的な刺激がスイッチとなり、骨格筋内でmTORC1(同書で詳しく解説)が活性化し、遺伝子の転写作業が始まると考えられている。最終的には筋線維が太くなるハイパートロフィー(筋肥大)が実現する。

 

[図表8]「ハイパートロフィー(筋肥大)」の仕組み

 

 

岡田 隆

日本体育大学体育学部

教授・ボディビルダー

 

世界一細かすぎる筋トレ栄養事典

世界一細かすぎる筋トレ栄養事典

岡田 隆

小学館

食事×筋トレで理想のカラダをつくれる本! 世界大会にて3位となるまでの体験、そして研究者としての知見から得た「生きていくうえで必須の行為『食事』を、いかにボディメイクに生かすか」がテーマの一冊。 本書には、あな…

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