急速な人口減少に伴い、様々な業界でマーケットの縮小が続いています。苦境に立たされる中小企業は、生き残りのためにどのようなビジネスモデルを築くべきでしょうか。本連載では、戸波亮氏の『葬儀会社が農業を始めたら、サステナブルな新しいビジネスモデルができた』の中から一部を抜粋し、新事業展開によって経営基盤強化を実現した葬儀会社の事例を紹介しながら、中小企業の生き残り戦略を探ります。

稲藁を活用した鶏卵とプリン

私たちは北海道の水田で稲刈りが終わったら稲藁を水田から運び出し、ニワトリの鶏舎に敷いています。養鶏は稲藁の再利用のために事業化したものです。たっぷり50㎝ほどの厚さに敷いた稲藁は1年ほどすると良質の堆肥になります。それを今度は畑の肥料に使い、大麦や蝦夷ヤマブドウなど新しい作物の栽培に活用しています。

 

ニワトリは現在、北海道と千葉(2020年から米作りを開始)で200羽ずつ、合計400羽を飼って卵を生産しています。いずれもケージに入れるのではなく放し飼いで、特に北海道では500坪もの敷地でのびのび育てています。

 

家畜の飼育方法や飼育環境について問題提起しているアニマルウェルフェア畜産協会北海道支部の方が3回ぐらい見にきて感心してくれました。アニマルウェルフェアというのは、生産性を重視した近代的な集約畜産が国民の食を支えてきたという現実がある一方、生産効率を重視した品種改良や、大量の濃厚飼料を与えた飼育管理などによって、家畜に過度の負担を強いてきた実態があるという立場から、畜産のあり方を見直そうとする世界的な潮流です。

 

これについてはさまざまな議論ができると思いますが、私はこれもSDGsと同じことだと思っています。少なくとも私は、アニマルウェルフェアの認証を受けたくてやっているわけでも、反対に非難されたくなくてやっているわけでもありません。

 

田んぼでできたものを何一つ無駄にしたくないという考えのもと、こうしたほうがいい、好ましいという確信があってやっていることです。そして、自分たちの田んぼでできた稲藁の上でのびのびと育った鶏たちが産んでくれた卵の品質に自信をもっています。

 

そして生まれた商品が、多くの消費者や海外の人たちの目にも好ましく映り、評価を得てさらなるビジネスにつながっていくとしても、それ自体が目的だったわけではなく、あくまでも結果がついてくるということだと思っています。

 

養鶏においては稲藁のほか脱穀の際などに出る規格外の米を飼料に利用しています。米を食べたニワトリが産む卵は黄身が白く、大きな特徴になっています。

 

こうして生産した卵はいくつかブランド化し、6個400円ほどで販売しています。普通の卵とは味が違うと気に入ってくれた東京の有名パティシエは定期的に注文してくれます。

 

また、ブランドのうちの一つは2019年に札幌で開催された「第2回たまごかけごはんフェスト」でグランプリを受賞しました。卵を使った白いプリンも開発して販売しています。

 

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葬儀会社が農業を始めたら、 サステナブルな新しいビジネスモデルができた

葬儀会社が農業を始めたら、 サステナブルな新しいビジネスモデルができた

戸波亮

幻冬舎メディアコンサルティング

市場が縮小する業界で生き残る! 外注業務の内製化を突き進めてたどり着いた異業種参入 経営危機から8つの事業を展開、 資産総額27億円まで成長できた戦略とは―― 日本の人口が減少するのに伴って、市場規模が縮小…

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