急速な人口減少に伴い、様々な業界でマーケットの縮小が続いています。苦境に立たされる中小企業は、生き残りのためにどのようなビジネスモデルを築くべきでしょうか。本連載では、戸波亮氏の『葬儀会社が農業を始めたら、サステナブルな新しいビジネスモデルができた』の中から一部を抜粋し、新事業展開によって経営基盤強化を実現した葬儀会社の事例を紹介しながら、中小企業の生き残り戦略を探ります。

廃棄物の再利用・商品化で新たな売り上げをつくる

私の会社は葬儀業からスタートしましたが、近年は米作りに関連した新しいビジネスを芋づる式に広げていっています。

 

精米したお米を自分たちで販売するだけでなく、米作りから生まれるさまざまなものを有効活用したり商品化したりしてお金に変えていこうという多角化です。もともと米作りには廃棄物が多く、私の考えとして、多角化に向いているものだったためです。

 

例えば、稲刈りをすると稲藁が出ます。そのまま刻んで水田に残しておくと、本州であれば春までに腐敗分解しますし、牛のエサとして利用されるものもあります。

 

ただ、気温が低い北海道では水田に置いておくと翌年の初穂の時期まで残って水田の窒素分が増え、米の味が低下する原因になります。あるいは、籾を摺って玄米にすると籾殻が出ます。稲穂に実った米のうち重量で実(玄米)が8割、籾殻が2割とされ、かなりの量になります。

 

昔は野焼きして処分ができましたが、現在では法律で野焼きが禁止され、費用を掛けて廃棄物として処理しなければなりません。さらに玄米を精米する際には糠が出ます。かつて家庭では糠漬けに使ったりしましたが、今では廃棄物として捨てられるケースが多いと思います。

 

私たちのグループには米販売会社があり、精米によって大量の糠が出ています。そのほか、籾摺りや精米の過程では規格外の米や割れた米が出ますし、返礼品や小売では米に賞味期限を設定しており期限切れの米も出てきます。

 

こうした水田での米作りから出る廃棄物を処理するにはそれなりにコストが掛かる一方、もし再利用して商品化できれば、処理コストが浮くとともに新たな売上になります。

 

近年、社会に広まっているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の理念に即したものになると思いますが、この言葉が流行するずっと以前から、私たちは無駄を活かすことを重視して事業を展開してきました。

 

SDGsと聞くと、ビジネスの足かせになる聞こえのいいお題目というようなとらえ方をする人もいますが、それは間違いです。消費者や機関投資家、この先入社してきてくれる若い人材が重視しているものをキャッチして、そこに訴えかけるビジネスを展開することは従来誰もがやってきたことです。

 

SDGsという合言葉は、むしろその現代における軸となる価値観を分かりやすい指標として示してくれているのだと思います。面倒に感じて拒むのではなく、また見せかけだけ繕って流行に乗ろうとするのでもなく、真摯に受け止めれば、自社を助け新たな道を切り拓くビジネスチャンスとしてとらえることができるはずなのです。

 

無駄を出さず、環境に配慮して、皆がいきいきと働きながら持続可能な経営を行っていくことは可能です。少なくともずっと前から私はやってきましたし、今も楽しんで続けています。

 

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葬儀会社が農業を始めたら、 サステナブルな新しいビジネスモデルができた

葬儀会社が農業を始めたら、 サステナブルな新しいビジネスモデルができた

戸波亮

幻冬舎メディアコンサルティング

市場が縮小する業界で生き残る! 外注業務の内製化を突き進めてたどり着いた異業種参入 経営危機から8つの事業を展開、 資産総額27億円まで成長できた戦略とは―― 日本の人口が減少するのに伴って、市場規模が縮小…

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