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公証人が作成する遺言書を「公正証書遺言」といいます。手軽に自分で作成できる自筆証書遺言と比較して、手間と費用が掛かりますが、遺言書は「公正証書遺言」で遺すことを勧めると、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。なぜなのでしょうか、みていきます。

公正証書遺言作成にかかる費用

(※写真はイメージです/PIXTA)
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公正証書遺言の作成にかかる費用は、どの程度なのでしょうか? かかる費用は、おおむね次のとおりです。

 

専門家報酬

専門家へ公正証書遺言の作成サポートの依頼をした場合には、専門家の報酬がかかります。報酬額は、遺言の内容や状況などによって異なりますので、あらかじめ見積もりをとると安心です。

 

公証役場手数料

公正証書遺言の作成にあたっては、公証役場の手数料が必要です。公正証書遺言の手数料は遺言内容によって異なっており、手数料表は次のとおりです。

 

[図表1]公正証書遺言にかかる手数料

 

これは遺産総額ではなく、遺言書で財産を渡す相手ごとにかかる金額です。たとえば、長男に9,000万円相当の財産を、長女に4,000万円相当の財産をそれぞれ相続させ、姪に800万円相当の財産を遺贈する内容の遺言の場合、手数料は次のとおりとなります。

 

手数料

43,000万円(長男分)+29,000円(長女分)+17,000円(姪分)

=89,000円

 

なお、この例のケースでは当てはまりませんが、遺言対象とする遺産総額が1億円以下である場合には、この表に当てはめて算定した金額に11,000円が加算されます。たとえば、遺言対象とする遺産総額が8,000万円であり、このうち6,000万円相当を長女に、2,000万円相当を二女に相続させる内容とした場合の手数料は、次のとおりです。

 

手数料

43,000円(長女分)+23,000円(二女分)+11,000円(遺言加算)

=77,000円

 

ほかにも、祭祀財産を承継させる人を指定する内容を記載する場合には別途11,000円が加算されるなど、内容によっては手数料が加算されます。また、入院中であるなどの事情で公証人の出張を受けて遺言をする場合には、遺言加算をする前の手数料が1.5倍となるほか、公証人の交通費実費と日当の支払いが必要です。

 

このように計算をした手数料額に、用紙代として数百円から数千円程度が加算された金額が、公証役場へ支払うトータルの金額となります。

 

必要書類の取得費用

先ほど解説をしたように、公正証書遺言の作成にはさまざまな書類が必要となります。 これらの書類を取得するのにかかる手数料は遺言の内容などによって大きく異なりますが、おおむね数千円程度となることが多いでしょう。

公正証書遺言の内容に納得がいかない場合

(※写真はイメージです/PIXTA)
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故人が遺した公正証書遺言の内容に、納得がいかないこともあるかと思います。たとえば、長男一家と同居して「お前(長男)に財産を渡すように遺言を作っておいたからね」と常日頃からいっていた父が、「二男に全財産を相続させる」という内容の公正証書遺言を遺しており、二男が父を珍しく旅行に連れ出した日が作成日であった場合などです。

 

このような場合には、早期に弁護士へご相談ください。たとえば、二男がすでに遺言書を作成できるだけの判断能力を失っていた父に、無理やり公正証書遺言を作成させたなどの事情があれば、遺言を無効にできる可能性があります。

 

また、故人が自らの意思で作成した有効な公正証書遺言であったとしても、相続人には「遺留分」という最低限の取り分があります。そのため、遺留分相当の金銭を取り戻す「遺留分侵害額請求」ができる余地もあるでしょう。いずれの方策をとり得るかは状況によって異なるため、まずは早期に弁護士へご相談ください。

まとめ

公正証書遺言とは、公証人が遺言書を作成する遺言です。作成に費用や手間がかかる一方で、無効になりにくいなどのメリットがあります。そのため、より確実に遺言をしておきたい場合には、公正証書遺言の作成を検討するとよいでしょう。しかし、公正証書遺言の内容を自分1人で検討することは、容易ではありません。そのため、公正証書遺言を作成したい場合には、弁護士などの専門家へご相談ください。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所

 

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