5.企業業績と株式
<現状>
S&P500種指数の5月の予想1株当たり利益(EPS)は232.6で、前年同月比▲2.5%でした。前月比は+1.1%と4ヵ月連続のプラスとなりました。一方、TOPIXの予想EPSは156.8、前年同月比は+2.4%でした。前月比は+0.5%と2ヵ月連続のプラスでした。
5月の米国株式市場は、1日にファースト・リパブリック・バンクの経営破綻とJPモルガン・チェースによる買収が報じられるなど、波乱含みのスタートとなりました。3日のFOMCは0.25%の利上げと市場予想通りとなったものの、債務上限問題に対する不透明感が月を通じて徐々に広がりました。NYダウは軟調となり3ヵ月ぶりの下落となりました。一方、NASDAQ総合指数は、好決算を背景にエヌビディアなど半導体株が急騰したことから、30日に年初来高値を更新する上昇となりました。NYダウは前月比▲3.5%、S&P500種指数は同+0.2%、NASDAQ総合指数は同+5.8%でした。日本株式市場も半導体関連など大型グロースの値嵩株が好調となり、大きく上昇する展開となりました。日経平均株価は前月比+7.0%、TOPIXは同+3.6%でした。
<見通し>
S&P500種指数採用企業の23年1-3月期の増益率(純利益ベース)は前年同期比▲0.1%、除くエネルギーセクターで同▲1.8%でした(5月26日。リフィニティブ集計)。減益となりましたが、決算発表が進むにつれ減益率は低下する展開でした。一方、TOPIX採用企業の23年1-3月期の純利益は前年同期比+31.3%、22年度(22年4月~23年3月)は前年度比+4.3%でした(6月1日。3月期決算企業で除く金融、QUICK集計)。
6月の株式市場は、日米ともに大きな上昇を記録した後だけに一旦上値が重くなる可能性があると思われます。6月は13-14日のFOMCで利上げ停止となるか、15-16日の日銀金融政策決定会合で長短金利操作などの政策修正があるかなど、年後半の市場を展望する上で大きな分岐点となりそうです。一方、日本は株主総会のシーズンとなります。今回は、東京証券取引所が上場企業に資本コストや株価を意識した経営に取り組むよう要請したこともあり、株主総会は自社の方針を示す絶好のチャンスです。企業と投資家による対話も注目され、企業の選別が株価に表れる可能性もありそうです。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。