(※写真はイメージです/PIXTA)

ビジネスメールで催促をする場合、失礼のない日時や文章を考えなければなりません。相手を不快にさせずに期限超えを認識してもらうには、どうすればよいのでしょうか? 平野友朗氏の著書『コミュニケーションに失敗しないための ビジネスメールの書き方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。

返事がないとき催促はいつごろしたらいいですか

期限の日を過ぎても返事がないときは、すぐに催促しましょう。共通の認識である期日を過ぎているので「なんで催促されなければいけないんだ」と怒る人はいません。催促しても失礼ではないのです。かえってここで催促しないと、相手は次のように考える可能性があります。

 

①まだ余裕があるみたいだから、催促されるまで黙っていよう

②そこまで重要度の高いメールではないのだろう

③仕事を依頼したことすら忘れているなんてルーズな人だ

 

自分のことは棚に上げて、相手のせいにして、自分にとって都合がいいように解釈してしまう可能性があります。多忙な相手に配慮して催促したい気持ちをこらえている、相手が忘れるはずがないと信じているとしても、その配慮や信頼が正しく伝わっているとは限りません。だからこそ、約束の日を過ぎていて遅れているなら、催促するのが一番です。

 

締切を設定している仕事ならば、日付や時間で区切っているはずです。日付で区切っている場合は、翌日に催促します。相手の始業時間が9時ならば、9時台には催促したいものです。仮に、7月10日(月)が期限ならば、7月11日(火)9時から10時までに催促します。これによって、相手も期限を越えてはいけないとわかります。催促するのが、午後になったり、翌々日7月12日(水)になったりすると「期限はあってもないようなものか」と思わせてしまうかもしれないので、それを防ぎます。

 

もっと早くに催促したら、どうなるでしょう。7月10日(月)という期限は当日の定時までと考える人が多いでしょうが、ちょっと残業して20時くらいと考える人がいるかもしれません。このあたりの感覚は人それぞれなことからトラブルを生む可能性があるため、期限が日付の場合、当日の催促は控えたほうが無難です。7月10日(月)18時に催促したら「まだ期限を過ぎていない」「残業してやろうと思ったのに、こんなにすぐ催促するなんて不愉快だ」と感じる人がいるかもしれません。メールの催促は仕事を円滑に進めるために行うものです。角が立つような行為は慎むべきでしょう。

 

以上のことから、締切は日付や時間をどのように設定するのか、パターンを決めておくと楽です。返事をもらって対応する日が決まっているならば、時間指定せず、その前日に締切を指定します。逆に、時間が決まっている場合は、時間指定で締切を設定します。

 

日付を指定しない依頼でも「このメールは5日で対応できるだろう」と予測して、その期日を越えたら、進捗を確認するメールを送ります。相手からの自発的な返事に期待するだけでなく、こちらから主体的に仕事をコントロールしていきましょう。

不快感のない催促メールの書き方を教えてください

不快感のない催促メールを書きたいなら、逆説的ですが「不快感のある催促メール」について考えるのが近道です。要は、それをしなければ不快感が発生しないのですから。

 

不快感が生まれる催促メールの条件について、次にいくつか書き出してみましょう。

 

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<不快感が生まれる条件>

●高圧的である

●一方的、決めつけている

●こちらに対する配慮や気遣いがない

●自分の非を棚に上げている

●催促の理由が書かれていない

●読みにくい、わかりにくい

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たとえば「期限を越えていますので、早急にご対応ください」と書いた場合、決めつけになるかもしれません。それは、相手がすでに返信しているけれど、こちらが見逃している可能性があるからです。もしそうなら、気まずい思いをするだけでなく、信頼を損ない、仕事にも支障をきたします。返事がきていない原因はさまざまなので、強い言葉で催促するのではなく「期限を越えているようですので、ご対応いただければ幸いです」のように、少しやわらかい言葉を使ったほうがよいでしょう。

 

仕事は1人では完結しません。ビジネスがうまく回るようにするには、相手あっての自分、そう考えての配慮が求められます。「こちらの都合で恐縮ですが」「ご多忙のこととは思いますが」のようなクッション言葉を用いると、相手への気遣いや配慮を伝えることができます。

 

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「こちらの都合で恐縮ですが、7月12日(水)17時までにご対応いただくことは可能でしょうか。」

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もし、こちらに非があって相手に無理を強いているときは、その点についてお詫びをしつつ、催促するのがよいでしょう。

 

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「こちらの進行が遅くて、余裕のないスケジュールとなり、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。こちらの都合で恐縮ですが、7月12日(水)17時までにご対応いただくことは可能でしょうか。」

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相手が期日を認識している前提で催促するので、強い言葉は控えて、感情を逆なですることなく、期限を越えていることを再認識させることができます。相手が催促される常習犯ならば、電話で話をしたり、密なコミュニケーションをとったりするなどのフォローが必要です。場合によっては、担当を変えてもらう、別の会社に依頼するなども必要になるかもしれません。

 

 

平野 友朗

一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事

株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役

 

1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て、独立。2004年、アイ・コミュニケーションを設立。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。ビジネスメール教育の専門家。メールのスキル向上指導、組織のメールのルール策定、メールコミュニケーションの効率化や時間短縮による業務改善など、支援実績は多岐にわたる。

著書は『そのまま使える! ビジネスメール文例大全』(ナツメ社)、『仕事ができる人は実践している! ビジネスメール最速時短術』(日経BP)など、本書を含め35冊。

※本連載は、平野友朗氏の著書『コミュニケーションに失敗しないための ビジネスメールの書き方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

コミュニケーションに失敗しないための ビジネスメールの書き方100の法則

コミュニケーションに失敗しないための ビジネスメールの書き方100の法則

平野 友朗

日本能率協会マネジメントセンター

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