急増する「所有者不明の土地」問題。これに対処するため、令和6(2024)年4月1日から「相続登記の義務化」が始まることになりました。これにより、相続登記の際に具体的な期限が定められることとなりますが、昔相続した不動産もこの対象となるのでしょうか。「相続登記の義務化」のポイントと注意点について山村法律事務所の山村暢彦弁護士が解説します。
相続登記の義務化だけでは解決できないケースも
今回の「相続登記の義務化」自体は、好ましい法改正といえるのではないでしょうか。いままで相続登記の放置によって生まれていた空き地や共有分割が困難な不動産が、少しでも減ることが期待できます。少なくとも、「ただ手続きが面倒で」「お金がかかるから」といった複雑な事情もなく放置されるケースが減ることで、それに伴うトラブルの減少に繋がるため、不動産投資家にとって有益な改正でしょう。
一方、「いったん相続人の共有名義にはできるが、そのあと遺産分割協議を完了できない」というケースは、この改正だけで解決することはできません。さまざまな不動産の相続案件をみていると、「認知症」が絡むと解決が難しくなると感じています。
とはいえ、今回(2023年)の民法改正も踏まえると、不動産の法整備が少しずつ進んできているといえます。
山村法律事務所
弁護士
山村 暢彦
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実家の不動産・相続トラブルをきっかけに弁護士を志し、現在も不動産法務に注力する。日々業務に励む中で「法律トラブルは、悪くなっても気づかない」という想いが強くなり、昨今では、FMラジオ出演、セミナー講師等にも力を入れ、不動産・相続トラブルを減らすため、情報発信も積極的に行っている。
数年前より「不動産に強い」との評判から、「不動産相続」業務が急増している。税理士・司法書士等の他士業や不動産会社から、複雑な相続業務の依頼が多い。遺産分割調停・審判に加え、遺言書無効確認訴訟、遺産確認の訴え、財産使い込みの不当利得返還請求訴訟など、相続関連の特殊訴訟の対応件数も豊富。
相続開始直後や、事前の相続対策の相談も増えており、「できる限り揉めずに、早期に解決する」ことを信条とする。また、相続税に強い税理士、民事信託に強い司法書士、裁判所鑑定をこなす不動産鑑定士等の専門家とも連携し、弁護士の枠内だけにとどまらない解決策、予防策を提案できる。
クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産・相続関連のトラブルについて、解決策を自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。
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