「加給年金」の注意点
この年金も、支給される年齢が決まっているため、繰り上げや繰り下げができません。また、夫婦の年齢差の制限はなく、年齢が離れているほど受給年数は多くなります。
たとえば、妻が15歳年下の場合は、夫が65歳になったとき、妻は50歳です。夫が65歳から老齢厚生年金を受給すると15年間加給年金が加算されます。一方、妻が1ヵ月でも年上の場合は、加給年金が支給されません。
また、夫が65歳になったとき、妻が年下でも、夫が老齢厚生年金の繰り下げ受給を選択した場合は、繰り下げ待機中の期間は加給年金ももらえなくなります。
妻との年の差が5歳の場合は、夫が70歳まで繰り下げ待機すると、加給年金を約198万円(5年分の合計)もらい損ねることになります。
ただし、夫婦の年齢が大きく離れていない場合は、加給年金をもらわなくても、繰り下げ受給によって増えた分で回収できることもあります。
◆65歳以降の世帯の経済状況で判断を
加給年金は65歳以降、一家の大黒柱の収入が下がったときも家族が生活に困らないよう、配偶者が65歳で自分の年金を受け取るようになるまで生計を支えるために給付されるものです。
夫が65歳時点で、家族を養うために必要であれば数年分でも受給したほうがよいでしょう。
65歳以降も生活費に余裕があり、年の差が少ない人は、加給年金を見送って、繰り下げ受給で挽回するのも一つの選択肢です。
小泉 正典
社会保険労務士小泉事務所
代表・特定社会保険労務士