遺言書を作成する際のポイント
遺言書を作成する際には、次のポイントを踏まえて作成しましょう。
専門家のサポートを受けて作成する
遺言書は、遺言者である本人が亡くなってから効力を生じる書類です。そのため、遺族が遺言書を手続きに使おうとした時点で問題が発覚したとしても、もはや遺言書を書き直すことなどはできません。また、法的に問題のある遺言書を遺してしまえば、トラブルの原因となってしまうリスクもあるでしょう。そのため、遺言書は自分1人で作成するのではなく、弁護士などの専門家のサポートを受けて作成することをおすすめします。
公正証書遺言での作成を検討する
遺言書のうち、もっとも費用のかからない方式は、自筆証書遺言です。しかし、自筆証書遺言は、トラブルの原因となりかねません。たとえば、次のようなリスクが考えられます。
・要件は満たすものの、内容があいまいで手続きに使用できないリスク
・偽造や変造、隠匿などをされるリスク
・偽造などが疑われて争いに発展するリスク
そのため、遺言書は公正証書遺言で作成することを検討するとよいでしょう。
遺留分に注意する
遺留分とは、子供や配偶者など一部の相続人に保証された、相続での最低限の取り分です。たとえば、長男と二男が相続人の場合に、長男に全財産を相続させるとの内容で遺言書を作成すること自体は可能です。しかし、この遺言書は二男の遺留分を侵害しています。そのため、相続が起きたあとで、二男から長男に対して、「遺留分侵害額請求」がなされてトラブルになる可能性があるでしょう。
遺留分侵害額請求とは、侵害された自分の遺留分相当額の金銭を支払うよう、遺産を多く受け取った相手に対して請求することです。遺留分侵害額請求をされると、長男は二男に対して、遺留分相当の金銭を支払わなければなりません。
遺留分を無視して遺言書を作成すると、このようなトラブルの原因となる可能性があります。そのため、偏った内容の遺言書を作成する際には、遺留分についてよく理解し、対策を講じておくことが必要です。
遺言執行者を定めておく
遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容どおりに遺言書を実現する責任者のことです。遺言執行者を定めておくことで遺言書の実現がスムーズとなるほか、遺言書の内容によっては遺言執行者がいなければその内容を実現させることができません。そのため、遺言書を作る際には、遺言執行者を遺言書内で定めておくとよいでしょう。
遺言執行者は、未成年者と破産者以外であれば、誰でも就任することが可能です。そのため、弁護士などの専門家へ依頼するほか、家族などを指定しても構いません。ただし、争いが予見される場合や確実に遺言書の内容を実現させたい場合などには、弁護士へ依頼しておくとよいでしょう。
まずは弁護士に相談を
遺言書を作成しておくことで、将来の相続争いを予防する効果が期待できます。また、自身の思いを実現し、相続手続きをスムーズに行ってほしいような場合には、遺言書を作成しておくとよいでしょう。
しかし、遺言書の内容を自分1人で検討することは、容易ではありません。内容によっては、むしろ争いの火種となってしまうリスクも十分にあります。そのため、遺言書を作成する際には、弁護士などの専門家へ相談するとよいでしょう。
堅田 勇気
Authense法律事務所