(※写真はイメージです/PIXTA)

将来のために投資を始めたいと思うものの、数千万円もの不動産を購入することに不安を感じる方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、世帯年収1,000万円のご夫婦がマンション投資を始めた際の事例を紹介します。失敗事例を通して、不動産投資を成功に導くポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

事例の概要

まずは、今回紹介するAさん(仮名)ご夫婦の事例概要をお伝えします。

 

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【Aさんご夫婦のプロフィール】

●年齢:30代

●家族構成:夫婦2人

●世帯年収:1,000万円

 

【購入物件】

●物件種別:新築ワンルームマンション

●物件所在地:都心5区

●借入金額:3,000万円

●借入年数:35年

●家賃設定:月額12万円

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30代で世帯年収が1,000万円のAさんご夫婦。将来のために不動産投資を始めることにし、比較的購入しやすいワンルームマンションの購入を決めました。頭金1,000万円、借入金額3,000万円で、都心に4,000万円の新築物件を購入しています。

 

毎月の返済額85,000円に対して家賃収入は120,000円を見込んでおり、十分に利益が得られる計算です。

 

それでは、事例を見ていきましょう。

需要の高い都心の物件を購入…固定資産税が想像以上の負担に

不動産投資セミナーで進められ、都心部の新築マンションを購入したAさん夫婦。実質利回りは約3%と説明を受けており、ローンを支払っても毎月約25,000円の利益が出る計算でした。

 

しかし、初年度から想定外の支出が発生します。固定資産税の負担が予想以上に大きかったのです。Aさんが購入したマンションは都心に位置しているため、地価が高く、必然的に固定資産税も郊外の物件より高くなります。

 

立地のいい物件は需要があり、入居が決まりやすい点が魅力ですが、そのぶん固定資産税も高くなることは念頭に置いておかなければなりません。

 

【失敗事例から学ぶポイント】必要な支出や維持費をすべて洗い出す

不動産投資を行う上で発生する支出は、ローン返済だけではありません。

 

固定資産税のほかにも、修繕積立金や入退去時のクリーニング、管理会社への委託費用や宣伝広告費など、賃貸経営には大きなコストがかかります。必要な維持費を洗い出し、いつ・どの程度の支出があるかを想定しておきましょう。

 

なお、特定の物件に関する固定資産税の金額は公開されていないため、不動産会社に相場を聞いてみるのも手段のひとつです。

わずか3年で入居者が退去…家賃を大幅に下げる状況に

固定資産税の負担は大きかったものの、Aさんの購入した部屋はすぐに入居が決まり、順調に家賃収入を得ていました。

 

しかしマンション購入から3年目、収入が減ったことを理由に入居者が退去してしまったのです。その時点で築3年になっており、新築時の家賃設定では次の入居者がなかなか決まりません。

 

当初は12万円の家賃で毎月25,000円の利益を得られるはずでしたが、やむを得ず10万円以下まで家賃を下げることに。新築からわずか3年で赤字に転落する状況になってしまいました。

 

「こんなはずでは…」

 

Aさんご夫婦は頭を抱えました。

 

【失敗事例から学ぶポイント】家賃の下落を考慮して長期で収支計画を立てる

今回の事例のように、経済状況の悪化による退去を予測するのは困難でしょう。しかし、この場合にも事前にできる対策はあります。収支計画を立てる際に、家賃の下落率を考慮しておくことです。

 

通常、賃貸の家賃は築年数とともに下がっていくものです。新築時は家賃設定がもっとも高い状態であるため、その後の下落幅は特に大きくなります。

 

家賃下落率は一般的に年率1%程度といわれており、新築から10年間に限っては下落率2%程度になる場合もあります。新築当初の家賃設定で収支を考えるのではなく、値下げを考慮した上で長期的なシミュレーションを作成しましょう。

赤字に転落しそうでも、売却できない

Aさんは、マンションを購入した当初「ローンの支払いが終わったあとは、家賃がそのまま老後の収入となる」と考えていました。

 

負担がこれ以上大きくなると赤字になるという厳しい状況になっても、後には引けないという思いもあり、Aさんは売却に踏みきることができません。

 

【失敗事例から学ぶポイント】出口戦略を考えておく

ローン完済後に家賃収入による生活を考える人は多いかもしれません。しかし現実的に考えると、完済する35年後には大掛かりな修繕工事が必要となることが予測されます。その費用が発生することも見込んでおきましょう。

 

また不動産投資を始める際には、物件を売って売却益を得るという出口戦略を考えておくことも重要です。

 

想定通りに収入が得られない状況で物件を保有し続けると、赤字が大きくなる可能性もあります。出口戦略をあらかじめ考えておくことによって、最適なタイミングで売りに出すことができるでしょう。

まとめ

今回は失敗事例を通し、不動産投資のポイントを解説しました。かかる費用や家賃の下落を想定することで、予想外の事態が起きてもダメージを抑えられる可能性があります。

 

とはいえ、最初から大きな金額を投資することに不安のある人も少なくないでしょう。

 

その場合には少額投資という選択肢があり、たとえば一口1万円から始められる不動産クラウドファンディングもあります。投資経験を積むためにも、まずはこのような少額投資から始めてみるのもよいでしょう。

 

 

執筆:悠木 まちゃ

ライター・編集者

宅建士・FP3級の資格保有。国立校の建築学科を卒業後、ハウスメーカーに勤務し、営業・設計職を担当。新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの設計などを手掛ける。

その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動。実務経験を活かし、不動産・金融系の分野を中心に記事執筆から編集まで行う。多数の企業メディアで編集を担当するほか、ライター向けオンラインサロンの添削講師としても活動している。

 

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※本連載は、J Sync株式会社が運営する『OWNERS.COM』(https://cf-owners.com/)のコラムを転載したものです。

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