(※写真はイメージです/PIXTA)

昨今、全国各地で自然災害による被害が相次いでいます。マンションは戸建て住宅と構造が異なり、住民も多数生活しているので、特有の防災対策が必要となります。マンションの防災対策を考えるうえでの基本は何でしょうか。旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長の大木祐悟氏とNPO法人かながわ311ネットワーク代表の伊藤朋子氏が著書『災害が来た! どうするマンション』(ロギカ書房)から解説します。

◆「修繕積立金」があることもメリット

そのほか、多くのマンションでは「修繕積立金」を積んでいることもメリットといえるでしょう。

 

もっとも、一般的には修繕積立金は「大規模修繕」をするために必要な金額しか積み立てていないため、仮に積み立てられた修繕積立金を被災したときの復旧の費用で使ってしまうと、次の大規模修繕時に費用が足りなくなる可能性があります。

 

しかしながら、とりあえずは復旧をするための原資とすることができる資金があることは、マンションが被災したときのことを考えると大きなメリットであると考えることができます。

 

[図表2]マンションであることのメリットとマンションであるための課題

 

【マンションであることのメリット】

・基本的に丈夫な構造であること

・多くの人の知見を利用できること

・修繕積立金を利用できる

・何事にも合意形成が必要なこと

 

◆マンションの管理組合について

多くのマンションには「管理組合」があります。では管理組合とはどのような団体なのでしょうか。

 

実は、マンションの基本法といわれている、「建物の区分所有等に関する法律」(以下「区分所有法」といいます)には、管理組合法人についての規定はありますが、法人格を持たない管理組合については特に定めがなく、あるのは「区分所有者の団体」(第3条)という規定だけです。

 

法律の文章なので難しく書かれていますが、少し我慢してこの規定を読んでみましょう。

 

【区分所有法第3条】

区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行う団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者をおくことができる。一部の区分所有者の意の共用に供せられるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理をするときも、同様とする。

 

このなかの前段の部分、つまり「全員で、建物並びにその敷地及び附属施設(以下「建物等」といいます)の管理を行うための団体を構成」するということは、区分所有者であれば、当然に建物等を管理する団体のメンバーであることです。

 

つまり、マンションを購入した人はすべてそのマンションを管理する団体のメンバーになりますし、マンションを売却するとその時点で団体のメンバーではなくなることを意味します。

 

要は、区分所有法第3条の団体とは、「建物や土地を共有する者の団体」であることを示しています。そしてこの団体は、「集会を開き」、「規約を定め」、「管理者をおく」ことができる旨が規定されています。

 

一般には、この区分所有法第3条に規定される団体が管理組合であるとされていますが、繰り返しですが区分所有法にはこの団体は「管理組合である」とは書かれていません。

 

では、マンションの管理組合についてはどこで規定されていているかといえば、それぞれのマンションの「規約」です。そのため、規約のチェックをすることは区分所有者にとって重要なことといえるでしょう。

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災害が来た! どうするマンション

災害が来た! どうするマンション

大木 祐悟 伊藤 朋子

ロギカ書房

関東大震災から100年! 電気・ガス・水道、ゴミ・排泄物、病人、備蓄、情報・避難、防災組織、・防災マニュアル、建替え・・・。 マンション災害の特徴を知り、準備、そして被災から復興への道筋を検討する。 【内容】 …

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