歩行などの「軽い運動」で寿命が延びる!?
免疫力アップには、適度な運動も効果的です。血液循環を良くするとともに、自律神経のバランスを整える作用が運動にはあるからです。とはいえスポーツをする習慣もなく、ジョギングやウォーキングも三日坊主になりがちで……という人は少なくないのではないでしょうか。
実は米国の研究で、1時間のデスクワークごとにたった2分、立って歩くだけでも健康にメリットがある、という報告があります。
3200人超を対象にした大規模な研究で、個々の被験者の日々の運動の強さを計測し、3年間追跡したデータをもとに分析した結果、1日の半分以上を座りっぱなしでいる人でも、1時間ごとに2分、歩行などの軽い運動をすれば寿命が延びるとの結果が得られたのです。
このとき、ただ立ち上がるだけではだめで、動き回ることがポイント。歩行のほか、掃除やガーデニングといった作業でも良いそうです。なぜ寿命が延びるのかのメカニズムまでは明らかになっていませんが、私は、一つには運動効果により免疫力がアップするからと考えています。
米国は心疾患や糖尿病といった生活習慣病が日本よりも深刻な状況です。運動により、免疫に関係するホルモン分泌が整い、こうした疾病の改善や予防が期待できるのではないでしょうか。机に向かって座りっぱなしで仕事をしていて、コーヒーブレイクも席についたまま……という人が多いのではと思いますが、休憩時間はコーヒー片手に歩き回る方が、免疫には良いといえます。
普段の生活の中に、無理なく運動時間を取り入れる
なお、厚生労働省が2013年に発表した「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では、身体活動量と生活習慣病の関係について述べられた複数の論文を解析し、生活習慣病のリスクを下げるには、例えば1日10分、今より長く歩くなど、ごく短い時間でも毎日積み重ねることが望ましいとしています。
デスクワーク中心の仕事などで、1日の中でなかなかまとまった運動時間がとれない人でも、10分のプラスなら、通勤時や昼休みなどに取り入れやすいのではないでしょうか。
例えば駅1つ、バス停1つ分歩く、エレベーターやエスカレーターをできるだけ使わず階段を上り下りする、自宅でテレビを見ながら体操するなど、普段の生活の中で無理なくできそうなことから始めてみるのが、長続きのポイントです。
仮に1日7時間の労働時間があるとして、1時間ごとに2分歩けば2×6=12分の運動になります。この方法でも、お昼休みや通勤時に10分プラスする方法でも、ほぼ同じだけの運動時間となります。
ライフスタイルに合わせて、長続きしそうなやり方を取り入れてみましょう。