「損益計算書」と「貸借対照表」から企業の“収益力”がわかる2つの最強の指標「ROE」と「ROA」【人気簿記講師(税理士)が解説】

「損益計算書」と「貸借対照表」から企業の“収益力”がわかる2つの最強の指標「ROE」と「ROA」【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって重要です。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は「損益計算書」「貸借対照表」を組み合わせた企業分析手法「ROE」と「ROA」について解説します。

「ROA」から、総資産を利用して、どの程度の利益をたたき出したかを分析する

◆ROAとは

一方、ROAとは、総資産利益率といい、会社が持っている総資産(総資本)を投入して、どれだけの利益を上げているかを示す指標で、次の計算式で求められます。

 

ROA=利益/総資産×100

 

この分母の「総資産」(総資本)は他人資本と自己資本の合計です。

 

これに対し、分子の「利益」の部分には、広い意味では損益計算書における「5つの利益」―「売上総利益」、「営業利益」、「経常利益」、「税引前当期純利益」、「当期純利益」のいずれも入り得ます。しかし、「経常利益」にするのが一般的です。なぜなら、他人資本の調達コストである支払利息を含め、自己資本の調達コストである配当金を差し引く前の利益のほうが整合性がとれるからです。

 

[図表6]をご覧ください。貸借対照表(B/S)の右側は、お金の調達状況(自己資本+他人資本)を明らかにしています。一方、左側(総資産)は、調達したお金をどのように運用しているのかという運用状態を明らかにしています。右側の総額が調達状況、左側の総額が運用状態を表しているだけで、どちらもイコールです。

 

右側から見れば、自己資本と他人資本を含めた調達状況で、どの程度の利益をたたき出したのかの指標になります。

 

左側から見れば、運用状態である総資産を利用して、どの程度の利益を上げたのかを明らかにしている指標といえます。

 

つまり、ROAとは、企業の収益性を総合的な観点から示す指標なのです。

 

[図表6]企業の収益性を総合的な観点から示す「ROA」

 

最後に、先ほどの[図表5]の企業に話を戻すと、ROAは、自己資本のみならず会社の総資産(=総資本)を使って、いかに効率的に利益を上げているかの指標です。

 

したがって[図表5]の企業は、ROAで分析をすると、ROEが50%あっても、ROAはたったの1%になります。

 

ROA=5億円/500億円×100=1%

 

したがって、とても問題のある企業であることが判明します。このように、経営分析は1つの方向性からだけではなく多角的に分析する必要があります。

 

■Point!

「ROE」で、株主の資本(自己資本)をいかに効率よく運用できたかを分析する。

 

「ROA」で、総資産を利用して、どの程度の利益をたたき出したかを分析する。

 

 

石川 和男

合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員

 

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