「車はすべてEV」の時代がやってくる?「新聞の切り抜き」からわかる半導体・自動車産業のゆくえ【投資のプロが解説】

「車はすべてEV」の時代がやってくる?「新聞の切り抜き」からわかる半導体・自動車産業のゆくえ【投資のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「日経新聞の切り抜き」を25年間継続し、会社四季報を100冊読破した複眼経済塾の渡部清二代表は、これまで切り抜いてきた日経新聞の記事から、半導体・自動車産業の変遷とともに、今後の流れを予想します。

自動車産業は「100年に1度」の変革期

■「EV連合『ソフト×量産』」(日経新聞切り抜き 2022年3月5日)

これは、ソニーグループ(6758)とホンダ(7267)がEV(電気自動車)やモビリティー分野で提携し、ソフトと自動車の量産技術を掛け合わせ、新たな事業モデルの構築を目指しているという記事だ。

 

ソニーは画像センサーや通信技術、エンターテインメントが強みで、ホンダには車体製造のノウハウや世界での販売店網があるとしており、両社が共同出資で設ける新会社はEVの車両の設計、開発、販売までを一貫して手掛けるという。

 

この記事に関連する形で3月6日に「創業スピリッツ再起へタッグ」という記事がある。

 

その冒頭、「自動車産業が100年に1度といわれる変革期を迎えるなか、両社が創業時のスピリッツを取り戻せるかが問われる」と書かれているが、ソニーの創業者・井深大(いぶかまさる)氏とホンダの創業者・本田宗一郎(ほんだそういちろう)氏の40年にわたる交友に関する記事を読むと、最後に「人まねせず、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する。(これは)ソニー・ホンダの新タッグにとって、色あせないメッセージである」と書かれている。

 

既存のものを組み合わせることがイノベーションであるならば、この組み合わせから何か新しいものが生まれる予感がする。

 

■「テスラ時価総額22兆円 トヨタ抜き車トップ」(指標ノート 2020年7月1日)

テスラ社の時価総額が約2,105億ドル(約22兆6,000億円)に達し、トヨタを抜いたというこのニュースはEV(電気自動車)への移行が加速していることを物語っていた。

 

2020年7月のテスラの株価は216ドル。その後、2021年11月の段階で1,243ドルという高値をつけている。したがって、同社の時価総額は約1年半後に1兆ドル(百何十兆円)以上に達したことになり、テスラの株価が216ドルのときに素直に投資していれば、投資額は約6倍に膨らんでいたことになる。

 

2019年にトヨタが世界で販売した台数は約1,074万台。一方、同年のテスラの販売台数は約36万7,500台で、まだトヨタの約30分の1でしかなかった。

 

だが、同社は次世代の自動車業界を担う存在として投資家の注目を集め、その後も株価の急伸が続いた。

 

株式市場は将来を先読みするため、テスラがトヨタと同様に、EVを年1,000万台販売するところまで織り込んだと考えられる。このような相場は期待だけで上昇する「理想相場」と呼ばれるが、一旦、足元の現状が冷静に見られると株価は元に戻るリスクがあるので注意が必要だ。

 

実際に2023年1月9日時点で、株価は119ドルまで下落している。ちなみに私はEVの時代はそんなに簡単には来ないのではないかと考えている。

 

次ページ「EVの時代は簡単には来ない」といえるワケ

※本連載は、2023年2月25日刊行の渡部清二氏による著書『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本連載は、証券投資の勧誘を目的としたものではありません。 最終的な投資決定は、ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本書、本連載を利用したことによるいかなる損害などについて、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート

10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート

渡部 清二

KADOKAWA

いつも読んでいる記事・数値がお宝株のストーリーに変わる! 会社四季報を100冊読破し、日経新聞の切り抜きを25年間行い、指標ノートを9,000日以上記録し続けた投資のプロが贈る「三種の神器」の投資術! 1日5分、11項目の…

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