(※画像はイメージです/PIXTA)

育児休業法が1991年5月に成立してからちょうど32年が経過しました。折しも少子化の進行に歯止めがかからず、現政権は「異次元の少子化対策」を掲げています。そんななか、2022年4月から育児休業法の大規模な改正が段階的に施行されており、2023年4月からは、従業員1,000人超の企業について育児休業取得状況の公表が義務化されています。本記事では、育児休業制度の概要および課題について解説します。

2023年4月施行の改正法の内容

◆6. 育児休業の取得情報公表の義務化

2023年4月から、従業員1,000人超の事業者について、育児休業の取得に関する情報を公表することが義務化されました。

今後の課題

以上が、育児休業制度および近時の改正法の概要です。これらを踏まえ、今後の課題として指摘されているのは、制度の実効性をいかに確保するかということです。

 

女性が育児のため仕事を辞めなければならないことや、育児で仕事を離れることでキャリア形成の妨げになってしまうことなどが問題視されています。

 

男女が育児の労力を分担することが求められていますが、男性の育児休業取得は、2021年における男性の育児休業取得率は13.97%にとどまっています(厚生労働省「令和3年(2021年)度雇用均等基本調査」)。

 

しかも、給与が上がらない状態が続くなか、税金や社会保険料の負担な増大し国民負担率が50%に迫っています。物価も上昇しています。

 

この状況を劇的に改善するには、雇用者側の法令違反に対するペナルティーを強化するなど、実効性の確保が急務です。

 

また、育児休業給付金についても、給与月額の3分の2ではなく満額支給にすべきとの指摘もなされています(政府において、80%に増額することが検討されています)。

 

現状、違反に対するペナルティーは、以下の通り、軽微なものといわざるを得ません。

 

1. 労働局から助言・指導・勧告を受けたのに従わない場合は、企業名が公表される

2. 労働局長から実施状況につき報告を求められたのに対し、報告を怠った場合や虚偽の報告をした場合は、20万円の過料が課される。

 

「氏名公表」は行政罰ではありません。また、「過料」は刑罰ではなくいわゆる「秩序罰」にすぎず、金額も軽微なものです。

 

育児休業法成立から22年経ち、その間、子育てをめぐる環境は明らかに厳しくなりました。労働者が育児と仕事を無理なく両立できる環境の整備という育児休業制度の根本思想に立ち返り、いかに実効性を持たせることができるか、国会・政府の「本気度」が試されています。

 

 

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