(※写真はイメージです/PIXTA)

プライム市場上場企業の課長を務めていたHさん。社内の「早期退職制度」を利用して、60歳の定年を待たずに会社を辞めました。「一足先にリタイアして、セカンドライフを満喫しよう」と考えていたHさんでしたが、実際には「過酷な現実」が待ち受けていたのです。家計破綻間近のHさんに、牧野FP事務所の牧野CFPはどのような助言をしたのでしょうか。みていきましょう。

早期退職後、Hさんに起こった“予想外の事態”

Hさんは退職時、すでに住宅ローンを完済しており、また子どもたちのために大学進学資金も準備していました。また、老齢厚生年金を受給するまでのあいだも、退職金といままでの貯蓄があれば生活できるだろうと安易に思っていたようです。

 

しかし、退職後、主に次のような想定外の出来事がありました。

 

1.一緒に趣味を満喫してくれる相手が見つからない

Hさんは退職後、友人を誘って趣味の旅行やキャンプ、ゴルフ、釣りを満喫する生活を始めましたが、徐々に雲行きが怪しくなってきました。

 

というのも、Hさんとの遊びに付き合ってくれる友人は世代的に責任ある立場の方が多く、平日に時間のとれる人はなかなかいません。また、妻もパートに町内会の用事にとなにかと忙しく、誘っても冷たくあしらわれてしまいます。しだいにHさんは1人で出かけることが増え、ただただ散財するようになりました。

 

2.社会保険料の支払いが発生した

会社員だったころは第2号被保険者として給与から天引きされていた社会保険料ですが、退職後は第1号被保険者となり、国民健康保険料と国民年金保険料を毎月納付する必要が出てきました。

 

また、妻もHさんが退職したことで第3号被保険者から第1号被保険者になり、保険料を納付しなければならなくなりました。国民年金だけでも、2人で毎月3万円以上。家計は圧迫されました。

※ <参考>日本年金機構HP「国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか」

 

3.再就職先での待遇

上記2つの出来事から、Hさんは再就職しようと派遣事務の働き口を見つけたものの、「元エリート」のプライドが邪魔をして派遣会社や上司に対してついつい口出しするようになりました。

 

しかも、業務は若いころのように早く覚えられず、20代の若手社員に同じことを何度も聞くことに。当然社内では「老害」扱い。Hさんが給湯室を横切った際、いつも教えてもらっている若手社員が「あのおっさん、マジで使えねえ。はやく辞めればいいのに」と話している声が聞こえ、思わずトイレで泣いてしまったそうです。

 

結局、Hさんは周りの冷ややかな視線に耐えかねて、わずか1年で辞めてしまいました。その後は自宅にこもり、今後の生活への不安や輝いていた退職前の自分との差を憂い、涙する日々が続いています。

 

Hさんにとっては、想定外のことだったかもしれません。しかし冷静に考えてみれば、こうなってしまった原因は「退職後の家計収支」を考えていなかったことにあります。

 

「早期退職制度」は、退職金やその後の自分の時間を、起業や再就職などといったさらなるスキルアップのために活用できる人にはいい制度かもしれません。

 

しかし、退職が定年より早い分、退職金が上乗せされても年金受給までの生活は長くなります。また、早期退職することで生まれた「厚生年金に加入していない期間」分、老齢厚生年金の受給額も減ってしまうことに注意が必要です。

 

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