(※写真はイメージです/PIXTA)

立ち上げた会社を成長軌道に乗せ、スタートは順風満帆。ところが、がむしゃらに経営を牽引したツケか、体調が悪化。創業者はその座を譲る決断を。相手は旧知の人物で心配していないものの、融資関連の手続きで懸念材料が。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、創業融資における連帯保証人の変更について、寺岡健一弁護士に解説していただきました。

連帯保証人は変更できる可能性が高い

相談事例では、経営が順調とのことですので、経営者保証ガイドラインに従って、特別な問題なく連帯保証人を変更できるでしょう。ただし、最終的には各金融機関の判断に委ねられています。

 

相談に対する回答としては、(1)特別な条件は必要ない、(2)最終的には金融機関次第である、ということになります。

 

経営者保証は、中小企業の資金調達をスムーズにする一方で、大胆な経営やスムーズな事業承継を阻害する側面もあります。この問題に対処するために経営者保証ガイドラインが設定されており、事業承継時に焦点を当てた特則も策定されています。

 

しかし、ガイドラインには法的拘束力がなく、最終的な連帯保証の取扱いは各金融機関の判断に委ねられています。

 

特則では、新旧経営者から二重の連帯保証を求めることを原則として禁止しています。その上で、4つの例外事由がある場合に限り二重の連帯保証を求めることを許容しています。

 

例外事由には、旧経営者が大量の会社資産を自分に貸し付けているケースや、すでに返済が遅れているため新経営者の保証能力だけでは金融支援が困難なケースなどが規定されています。

 

会社財産を私的に流用していない場合や、適切な利益を上げている場合は、ガイドラインの条件を満たしていると言えるでしょう。

会社と経営者の分離が重要

相談事例では、連帯保証人の変更を望んでいました。

 

さらに、事業承継の際に経営者保証なしで保証協会からの保証を受けられる制度が導入されています(事業承継特別保証制度)。この制度を利用する要件は次の観点から定められています。

 

・3年以内に事業承継を行う予定の会社であること

・経営状態が良好であること(計算書類の指標で規程されています)

・会社と経営者が明確に分離されていること

 

また、経営者保証ガイドラインでは、事業承継以外の場面でも一定の要件を満たす場合には経営者保証を外すよう求めています。この要件は次の観点から定められています。

 

・会社と経営者が明確に分離されていること

・会社の資産や収益力だけで返済が可能であること

・金融機関に対して適時適切に財務情報を開示していること

 

どちらの場合でも、会社と経営者が分離されていることが要件となっています。

 

例えば、会社の資金で経営者用の車を購入したり、経営者が会社から勝手にお金を引き出したり、会社から経営者へ貸付を行っていたりする場合には、法人と経営者の分離という要件を満たさなくなります。

 

経営者は、将来の事業承継を円滑に進めるためや、自身の経営者保証を外すためにも、会社と経営者が明確に分離された状態を目指す必要があります。

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