AIをアシスタントのように使うという未来像
酒井:弁護士の仕事自体をAIが代行するのではなく、AIをアシスタントのように使う感じなんですね。
古川:そのとおりです。弁護士や医師は、膨大な知識に基づいて仕事をしており、かつその知識がある程度明確にテキスト化されています。そういった職業では、AIが知識をサポートする存在となっていく可能性が高いと考えられます。たとえば過去の法律相談を学習させたChatGPTを活用する法律相談サービスなどは実用化されそうです。
酒井:この場合、ChatGPTをそのまま使うのではなく、やはりそれぞれに特化したものを作る必要があるということでしょうか?
古川:ChatGPTのモデルそのままだと、専門性の高いことをすべて正しく答えるのは難しいと思います。目的に合わせたファインチューニングを行うことで、十分に性能を発揮できるようになります。
「なんでもできるAI」は実現する?
酒井:ChatGPTは会話形式で文章を作るだけですが、この先、AIがさらに進化したときには、もっといろいろなことができる、SF作品に出てくるようなAIが実現する可能性もありますか?
古川:どうでしょうね。まず前提として、現在AIと呼ばれているものは、人間がやっている仕事をコンピューターで置き換えることを目的にしたものになります。
酒井:ChatGPTもそうですし、翻訳や文字起こしのAI、問い合わせに答えるチャットボット、工場で使われている不良品を識別するAI……皆、特定の目的のために作られたものですね。
古川:そうなんです。今、世の中に出回っているAIは、いずれもこのタイプです。そして、「いろいろなことができるAI」は、「汎用人工知能」(AGI)と呼ばれるものです。早い話が、人間と同じ状態のAIということですね。
汎用人工知能(AGI、Artificial General Intelligence)は、人間と同程度の能力をもち、広い領域で活用できる(=汎用的な)AIの総称。「強いAI」とも呼ばれる。
生成AIなどは特定領域でしか活用できないため「弱いAI」と呼ばれる。
酒井:もし、そのタイプのAIが実現したら、人間は必要なくなってしまいそうです……。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら