文章生成機能に注目が集まる対話型AIの「ChatGPT」。こうした人工知能の活用は、ビジネスや日常生活にどのような影響を与えるのでしょうか。ITライターとして活躍する酒井麻里子氏(以下酒井)が聞き手となり、株式会社デジタルレシピ取締役・最高技術責任者である古川渉一氏(以下古川)が、「ChatGPT」の今後について対話形式で解説します。
AIは、人間と同じように考えて文章を作っているの?
ChatGPTは、人間と話しているかのような自然な会話が可能です。これはどのようなしくみで成り立っているのでしょうか? そして、それは「人間と同じように文章を考えている」といえるのでしょうか?
生成される文章がナチュラルなのはなぜ?
酒井:ChatGPTで生成される文章は、いかにも「コンピューターが作った文章」という感じではなく、人間の文章のような自然な感じがします。なぜ、こういう文章を作り出せるんですか?
古川:大きな理由の1つが、ChatGPTのベースである「GPT-3.5」というモデルで行われている「ファインチューニング」です。
酒井:ファイン(fine)は英語で「細かい」、チューニング(tuning)は「調整」ですね。どんなことをするんでしょう?
古川:ベースとなるモデルを特定の用途のために微調整しています。ChatGPTでは人間が作った、ユーザーとAIの会話形式のデータについてのファインチューニングが行われているため、より自然な会話が可能になっているとされています。
酒井:AIが人間のように考えて文章が作れるようになるのですか?
古川:それは少し違うかもしれません。人間の場合、基本的に悪意を持っていない限りは、知らないことを聞かれたら「知らない」といいますし、自分の知っている範囲で答えようとしますよね。
酒井:そうですね。知ったかぶりをする人もいるかもしれませんが、基本的には、自分の知識や記憶に基づいて答えると思います。
古川:ChatGPTのような文章生成AIの場合、そのような人間の思考とは違い、言葉の意味を理解しているわけではないんです。大量の学習データを処理して、「それらしい答え」を確率的に出しているに過ぎません。
酒井:つまり、自分で考えて答えているわけではないという点で、人間とは違うということですか?
古川:そのとおりです。だからこそ、間違ったことを答えるケースも多々あります。人間による回答とは違うことを理解したうえで使うことが大切ですね。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら