対話型AI「ChatGPT」は文章を生成できるAIとして注目を集めています。今後「ChatGPT」の活用によって、日常生活やビジネスにどのような変化が起こるのか。日本最大級のAIライティングアシスタント「Catchy」の事業責任者である古川渉一氏が、ITライター酒井麻里子氏との共著『先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来』(インプレス)において解説します。
人間と同じ状態の「究極のAI」実現はいつになるのか
古川:現状では、そのようなAIの実現にはまだ遠いというのが正直なところですね。人間の脳には、数十兆から数百兆のシナプスと呼ばれるつながりがあります。
酒井:深層学習では人間の脳のしくみを再現しているんですよね。
古川:そうですね。ただし、深層学習でのシナプスにあたるものの数は、単純な数の比較では人間の1000分の1や1万分の1というレベルに過ぎません。
酒井:現状では、まだまだ人間の脳には追いついていないということなんですね。
古川:ただし近年は、特定の目的であれば人間の能力を超えるAIを作れるようになってきました。ChatGPTがここまで話題になっているのも、まさにその部分が注目されたからでしょう。
酒井:特定の目的にフォーカスすれば、かなりのレベルに進化しているけれど、人間とまったく同じ状態のAIができるまでは、まだまだという状況なんですね。
古川:そうですね。なので、「AIが進化したら人間は不要になるのでは?」と不安に思う必要はないと思っています。
酒井:考えてみると、将棋で人間に勝つことができるAIがいたとして、そのAIはメールの文章を書くことはできないし、買い物でのおつりの計算をすることもできないかもしれないですね。
古川:すべてが人間と同じ状態の、「究極のAI」が実現するのはまだ先になると思います。
酒井:直近の進化としては、ChatGPTなどの既存モデルをベースに、よりパーソナライズされた内容を返すことのできるAIや、専門家をサポートするような特化型のAIが登場してくる可能性があるということですね。そして、人間と同じことができるような汎用型のAIの実現まではまだ遠いということもわかりました。この先のことが、少し見えた気がします。
古川 渉一
株式会社デジタルレシピ
取締役CTO
酒井 麻里子
株式会社ウレルブン
代表・ITライター
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株式会社デジタルレシピ
取締役CTO
1992年鹿児島生まれ。東京大学工学部卒業。株式会社デジタルレシピ取締役CTO。学生時代にAI研究を行う松尾研究室に所属したことをきっかけにインターネットに興味を持ち、大学生向けイベント紹介サービス「facevent」を立ち上げ、延べ30万人の大学生に利用される。その後、国内No.1 Twitter管理ツール「SocialDog」など複数のスタートアップを経て現職。デジタルレシピでは事前登録者数6,000人を超えた、パワーポイントからWebサイトを作る「Slideflow」の立ち上げを経て、現在はAIライティングアシスタント「Catchy(キャッチー)」の事業責任者。CatchyはOpenAI社が提供するテキスト生成AI「GPT-3」を活用した国内向けサービスとして、リリース後半年間でユーザー数4万人を超える。事業戦略、プロダクト開発、マーケティング、AIのビジネス活用など幅広い領域に知見を持ち、0から事業を垂直に立ち上げることを得意とする。
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連載先読み!「ChatGPT」対話型AIが生み出す未来
株式会社ウレルブン
代表・ITライター
ITライター。企業のDXやデジタル活用、働き方改革などに関する取材や、経営者・技術者へのインタビュー、技術解説記事、スマホ・ガジェット等のレビュー記事などを執筆。メタバース・XRのビジネスや教育、地方創生といった分野での活用に可能性を感じ、2021年8月よりWEBマガジン『Zat's VR』を運営。メタバースに関するニュースや、展示会・イベントレポート、ツールの解説やレビューなどを発信。Yahoo! ニュース公式コメンテーター(IT分野)。株式会社ウレルブン代表。Twitter(@sakaicat)では、デジタル関連の気になった話題や役立つ情報などを発信。
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