(※写真はイメージです/PIXTA)

児井正臣氏の著書『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』より一部を抜粋・再編集し、令和の日本に吹く「逆風」について考えていきます。

「特別給付金10万円」はただでもらえたわけではない

経済の不振は、それが財政の実質的破綻につながり、そうなると新しいことが何もできなくなり、ますます世界から遅れることになる。

 

貧すれば鈍するであり、国民との信頼関係も失われる。河川改修や堤防のかさ上げなどに使う国の治水予算は2000年度ごろまでは年1.3兆円程度に達することもあったのに対し、現在は1兆円を下回る水準にとどまっている。

 

それなのに自然災害は増えてきている。何をするにも金が要るのであり、その金は本来は国民が負担するものである。それなのに政府も野党もメディアも国民負担のことを言わない。

 

コロナ禍での特別給付金10万円だってただでもらえるわけではなく、いつかは国民にはね返ってくることを誰も言わない。財政とは国民が自らの所得の一部を公共サービスに回しているものだ。

 

このことを曖昧にして国際的に最低水準の税負担のまま赤字財政を続けたツケが、国際的にも歴史的にも最悪の政府債務(昨年度末1115兆円)となっている。

 

いつの時代も負担増は不人気策である。それを政治家が声高に唱えるには勇気がいるが、国民もそろそろ目が覚めないといけない。国も言いにくいことを言おう。国民もきちんと聞く耳を持とう。

 

 

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児井 正臣

1968年3月 慶応義塾大学商学部を卒業(ゼミは交通経済学)。

1968年4月 日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。

1991年12月 一般旅行業務取扱主任者主任補の資格を取得。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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