(※写真はイメージです/PIXTA)

児井正臣氏の著書『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』より一部を抜粋・再編集し、バブル崩壊後の平成を振り返っていきます。

他国の後塵を拝すようになってきた”かつての戦略産業”

それでも自国通貨で借金(国債発行)ができる限り多額の借金をしても国家は破綻しないというMMT(現代貨幣理論)論が出てくるなど、心配感が薄らいでいるように思えてならなかった。

 

破綻とは企業の場合は、手形が落とせなくなるとか、従業員に賃金を払えなるときのことであり、地方自治体も同様で、夕張市などが破綻状態になり国家管理になった。

 

しかし国の場合は、そのような破綻ということはなく、自国通貨を自分で印刷し発行し、その金で国債を発行している限り、公務員に給料を払い続けることはできる。

 

MMT論者は「破綻さえしなければいいじゃないか」と言っているように聞こえるが、筆者はもうすでに日本は実質的には破綻状態になったと思っている。

 

例えば、1980年ごろに社会人となった現在60歳前後の人の年金の給付開始時期や金額などは、当時暗に約束されていたものが果たされていない。

 

また教育や研究開発機関などへの助成金をはじめとする国力を高めるための投資などは年々減額されていて、海外大学への留学者数や引用されている論文数などは中国や韓国にも遅れをとっていて、教育にも金をかけない国になってきている。

 

日本の国力がかなり落ちていることは、2000年にはノルウェー、スイスに次いで世界で3位だった1人当たりGNI(国民総所得)が2017年には22位に落ちたことで端的に表れている。

 

それ以外の指標からも国力が落ちていることを示すには枚挙に暇がない[図表]。

 

[図表]国民1人当たりGNI国別推移

 

さらに日本の戦略産業と言われてきたものがひとつずつ他国の後塵を拝すようになってきている。かつては世界の最先端を走っていた通信技術の分野でも、5G化に向けての基地局用の機器などほとんど蚊帳(かや)の外と言っても良いくらいだ。

 

中国のファーウェイのほか、スウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキアなど国の戦略産業を担う企業が占めている。筆者がサラリーマンになりたての頃コンピューターの分野で、当時の通産省が国産メーカーを保護育成し日本における米国IBMの独占を防いだ。

 

日本IBMに勤めていた筆者には、国の資金援助とリーダーシップの凄さを思い知らされたものだが、逆に今でもそのくらいのことをすれば、戦略産業のいくつかを残すことができたのではないかと思う。

次ページ失われた30年と言うより「無風状態」だった平成

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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