(※写真はイメージです/PIXTA)

児井正臣氏の著書『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』より一部を抜粋・再編集し、「消費税増税」について考えていきます。

少ない公務員が、少ない税収で、先進国並みの社会福祉

世界の先進主要国の中には、低負担低福祉のアメリカ型の小さな政府の国から、高負担高福祉の北欧諸国のような大きな政府の国などまちまちである。

 

主要先進国の中で、日本は小さな政府である。少ない公務員が、少ない税収で、先進国並みの社会福祉を行っているので無理が重なっている。

 

そうなったのは、昭和後半の高度成長時代の人口ピラミッドと所得が毎年上がるという、きわめて幸運な時期にできたスキームをそのまま踏襲し、かつ平成になってからの無駄を減らせというムードから公務員を削減して行ったからである。

 

その結果が世界的にも突出した財政赤字に現れている。自国通貨で国債を発行すれば問題ないというMMT推進派でも、まさかこのまま財政赤字を続けたままで良いとは言わないだろう[図表]。

 

[図表]

 

人口が激減し高齢化がますます進み、かつ社会福祉のサービスレベルを落とさないということであれば、やはり遠からず消費税増税は避けて通れないだろう。

 

人口規模でイギリス、フランス、ドイツよりも小さな国になるかも知れず、高齢化がますます進むのであれば、これからは高負担高福祉に向かわざるを得ないだろう。

 

いずれは消費税をヨーロッパ各国のレベルである15~20%までもって行かなければならない時がくるだろう。そういうことは政府もメディアも、そして多くの国民もわかっていながら言わない。

 

言いにくいことは言わないという変な空気が日本には漂っている。事態がどんどん悪化して、追い立てられるように後ろ向きに増税をするのではなく、戦略を立て、先手を打つべきである。

 

日本は少子高齢化に伴い社会保障費が年々すごい勢いで伸びているのに、消費税の10%化を決めてから実施までに5年も要した。いずれ上げなければならない消費税ならば、まず今回のようなプロジェクトに使い、それにより再び高度成長が期待できる、ということをきちんと説明した方が国民の納得が得られるのではないだろうか。

次ページ「国民の嫌がるようなこと」ではあるが…

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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