経済激動は“サイクル通り”
プロの株式投資家は、古くから言い伝えられている様々なサイクルを活用している。その中で私が注目しているのが伊勢神宮の「金座・米座」という20年サイクルである。
我が国の神社には式年遷宮(せんぐう)という祭事があって、伊勢神宮の遷宮祭は大規模なものとして知られている。20年ごとに諸社殿(内宮、外宮の本宮など合計125社)を新しく立て替え、神宝、装束を一新し、ご神体を旧殿舎から新殿舎に遷座するこの行事は、天武(てんむ)天皇の発意によって持統(じとう)天皇時代の4年(690年)に第1回が行われている。1300年以上続いており、2013年10月に行われた遷宮は62回目に当たる。
伊勢神宮の正殿の敷地は、東側が米座、西側が金座と呼ばれており、正殿が米座にあるときは平穏で豊かな「精神の時代」、金座にあるときは波乱の多い激動の「経済の時代」になるとされている。
この言い伝えに基づけば、2013年10月までの20年間は正殿が米座にあったので平穏な「精神の時代」、次の遷宮が行われる2033年10月までの20年間は正殿が金座にあるので、激動の「経済の時代」ということになる。
したがって、現在は2033年まで9年を残しているので、まだ経済が波乱含みの激動期にあり、〝まさかの事態〞がこれからも続き、2025〜2028年あたりに激動が本格化して、やがてそれが2033年に向かって終息していくというように考えられる。
そして、幕末から現在までの「金座・米座」のサイクルを振り返ってみると、以下のようになる。
・1849〜1869年 「金座」黒船来航から明治維新幕開けの激動の時代
・1869〜1889年 「米座」文明開化を謳歌した時代
・1889〜1909年 「金座」日清・日露戦争の時代
・1909〜1929年 「米座」大正ロマンという大衆文化が花開いた時代
・1929〜1949年 「金座」世界恐慌、第2次世界大戦が勃発した時代
・(敗戦の混乱で遷宮が4年延期)1953〜1973年 「米座」戦後復興の時代
・1973〜1993年 「金座」バブル景気に沸(わ)いた時代
・1993〜2013年 「米座」戦争のない時代
・2013〜2033年 「金座」激動の「経済の時代」
他にもサイクル理論があり、なかでも投資家のあいだでよく知られているのが、江戸時代に酒田(山形)で生まれ、米相場で莫大な財を成した本間宗久(ほんまそうきゅう)が編み出した「酒田五法(さかたごほう)」という相場の分析方法である。
これは、まさに「買う、売る、休む」という売買の重要なポイントを知るためのものだが、実は人の「起きて活動して寝て休む」というサイクルと何ら変わらないし、日本に根付いている1年の過ごし方と同じである。つまり、春に田植えをして夏の終わりまで稲を育てて、秋に収穫をして、冬のあいだは休むという流れと一緒だ。