(写真はイメージです/PIXTA)

ユニコーン企業後進国と言われる日本。その理由のひとつに「成長企業に向かうリスクマネーの乏しさ」があげられます。ニッセイ基礎研究所の清水勘氏が北米を例に「リスクマネー還流の実態」について解説していきます。

5―終わりに

以上、簡単ではあるが米国の未上場企業投資を巡る出口戦略の現状を概観してみた。ここから示唆されるポイントは、(1)リスクマネーの還流には入口と同様に多様な出口戦略の整備が必要であること、そして、(2)これもまた入り口と同様に出口戦略は、確立された投資家コミュニティーと貪欲に成長機会を追い求める事業会社が必要であること、の2点ではないかと思う。現在の日本は、残念ながら、そのいずれもが発展の途上にある。特に、(2)の投資家コミュニティー形成は、一朝一夕で成し遂げることはできない。投資に従事するプロ投資人材の育成もこれからだ。

 

昨年12月に成立した2022年度第2次補正予算では、スタートアップ関連では過去最大となる1兆円が計上され、いよいよスタートアップ育成5ヵ年計画が始動する。投資額を5年で10倍に増やすという野心的な目標が達成された暁には、投資期間とされるその先の5~10年後に資金の回収が始まる。それまでにリスクマネーの好循環を生み出すような多様な出口戦略とそれを支える事業会社やプロの投資家が出揃い、日本のスタートアップ企業投資を盛り上げていることを期待したい。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月20日に公開したレポートを転載したものです。

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