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天下国家を論じなくなった日本の経営者
■経営者の問題
デフレ克服には賃金上昇が必要です。繰り返しますが、それには経済全体の需要(総需要)を大きくしなければいけません。限られた個人や企業の賃金が上がっても、経済全体に与える影響は小さく、日本経済そのものを変えることにはならないからです。
日本経済がデフレから抜け出すために、総需要を大きくしていくという発想が求められています。政府は当然ですが、経団連などが、そういう発想をもつことが大事になってきています。
バブル経済崩壊前は、もちろん、デフレ圧力はありませんでした。不景気になっても政府が財政出動して、日銀が金融緩和すればリバウンドしたものです。経団連やその会員企業が、ことさら総需要のことを考える必要もなかったわけです。
ところがバブル経済崩壊後、経営者たちは、自社の内部留保を増やすことばかりに熱心で、それが総需要に与える影響までは考えようとしません。前にも書きましたが、賃金を上げようとしないで人件費を抑えることばかりに夢中になっています。総需要を大きくして日本経済を活性化することには、まるで無関心。私にはそう思えてなりません。
愛国心という言葉は、あえて使いたくはありません。そういうものは、口に出さなくても、日本に生まれて、伝統や文化になじみ、教育を受けて、日本で活動している以上、身に付いていると思うからです。しかし現在の経営者や経団連の振る舞いを見ていると、「愛国心はあるのか」と言いたくなります。
大手企業から中小企業をふくめて、いまの経営者の口からは「日本経済をどうするか」という話題はでてきません。新聞記者として私が大手企業を担当していた、ちょっと前までは、企業のトップクラスに会いに行くと、天下国家のことが話題になることが多かったものです。
次の投資はどうするとか、どこの企業を買収するとか、そういう話はメインではありませんでした。それよりも「景気はどういうふうになるかね」と、私に聞いてきたり、「どうすれば米国に勝てるか」を話題にする人も多かったし、「ここまで米国をへこましてやったぞ」と話す人もいました。彼らの行動の根底には、自企業の発展ではなく日本経済の発展があったからです。
そういう経営トップは、だいたいが戦争中に育った戦中派でした。全体としての日本経済を考えている人たちでした。あのような人たちが現在でも経営トップにいたら、どうやったら日本がデフレから脱却できるか、どうしたら日本経済を回復させることができるのか、そのために自分たちは何をやらなければいけないか、と考えていたはずです。日本経済は、もう少し健全な姿になっていた気がします。
日本経済を考える経営トップが、皆無とは言わないまでも、かなり少なくなってきています。それが、日本経済がデフレから抜け出せないでいる要因のひとつになっている気がします。
■マスメディアの問題
日本経済全体を考える風潮を衰退させている原因は、マスメディアにもあると思います。私は「デフレから脱却させないで、経済成長できない政策をとっているのは政治の責任であり、経営者の責任だ」という記事を書いています。しかし、同じような記事を書く記者は少ないのが現実です。
記者自身の勉強不足もありますが、経済学者たちの多くが財務省御用達となり、財政均衡重視になっています。学者頼みの記者たちも影響されます。そうなると、政治や経営者に批判的な記事を書くことができない。
財政支出拡大を肯定する記事は社内で握りつぶされてしまいます。財務省のブリーフィング内容を肯定し、わかりやすく書ける記者が高く評されるのです。
どの新聞社とは言いませんが、編集局の中にまで旧大蔵省の幹部官僚がズカズカはいり込んできて、編集局幹部と和気あいあいという場面はよく見られました。直接、社長に会ったりもしています。何しろ財務省は国有地を管轄し、予算の配分から徴税権ももつ強大な権力機構です。前述した中国共産党を彷彿させます。
昔の名だたるジャーナリストは、たとえば『東洋経済新報』で一貫して日本の植民地政策を批判した石橋湛山のように、堂々と政府批判を展開していました。
そういう気骨のあるジャーナリストがいなくなったことで、表面上の物価上昇は騒ぐけれども、根本的なデフレ脱却については触れないマスメディアになってしまっています。これでは世論も盛り上がらず、日本経済を成長させる議論にもなっていかない、そう思います。
田村 秀男
産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員
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