「意味順」で単語を当てはめれば、簡単に英文が作れる
■【だれが】【する(です)】【だれ・なに】【どこ】【いつ】の順で構成
【例文1】明日、図書館で写真を見せよう。(図表1)
意味順ボックスは、基本的に「左から右へ」と進みます。「だれ・なに」の中点(「・」)は、英語の<A and/or B>の意味です。つまり、AかBのいずれか一方の場合もあるし、AとBの両方の場合もあるということです。そして、両方の場合、AとBの関係性は通常、 A ⊇B(「AはBを受領・所有する」や「AはBである」)を意味します。
なお、「いつ」は文型とは直接関係がありませんが、時制など文の要素として最も重要とされる「する(です)」に深く関わっているために含まれています。
■「意味順」式なら、SVOCに置き換えずに「話す」「書く」ができる
一例として、日本人が苦手とする疑問詞のある疑問文と関係代名詞の文を作ってみましょう。意味順の枠に当てはめるだけですから、「目的語が何で、先行詞が何で…」といった“まわり道”をせずに英文が作れることを、ご理解いただけるかと思います。
【例文2】先週、どこへ行ったの。(図表2)
疑問詞疑問文(Wh疑問文)の疑問詞(WhereやWhatなど)については、意味順の左端に【玉手箱】を置いて対応します。また、接続詞(thatやifなど)などもこの【玉手箱】を使って表します。
これらの基本要素に加え、オプションとして「どのように」と「なぜ」があります。これらを使って、意味順はコミュニケーションに必要な情報単位である5W1Hのすべてに対応することができます。
未来を表す「will」(図表3)
willには主語の意思とは関係なく、自然のなりゆきで起こる未来(~するでしょう)と主語の意思を表す未来(~するつもりです)があり、<will+動詞の原形>の形で表します。
willの肯定文・否定文・疑問文の作り方
●肯定文は【する(です)】ボックスに<will+動詞の原形>を置きます。
●否定文は【する(です)】ボックスのwillの後ろにnotを置きます(図表4)。
●疑問文は【する(です)】ボックスにあるwillを【玉手箱】に置き、文の最後に「?」をつけます(図表5)。
意味順で理解しよう
1. My mother will be sixty-three in September.
(私の母は9月に63歳になる。)
2. The store will not open next Saturday.
(その店は次の土曜日には開かない。)
3. Where will you have a meeting tomorrow?
(明日どこであなたは会議を開きますか?)
⇒上記1~3の文章を意味順ボックスに当てはめると…(図表6)
-------------------------------------------
〈意味順メモ〉
未来を表すwillは、<will+動詞の原形>の形で【する(です)】ボックスに置く。疑問文ではwillを【玉手箱】に置き、文の最後に「?」をつける。
-------------------------------------------
ドリルに挑戦
ホストマザー: ❶今夜、映画に行くつもりなの?
ジョン:No. There is nothing we want to see.(いいえ。僕たちが見たいものは何もないから。)
たけし:But(でも), ❷僕たちは遅くまで帰らないよ。
ホストマザー: Why will you be late?(なぜ遅くなるの?)
たけし:❸ジョンをカラオケに連れていくんだ。
ホストマザー:What time will you get home?(何時に帰ってくるの?)
⇒会話文に出てきた❶~❸の日本語の文を、意味順に当てはめてみましょう(図表8~10)。
佐々木 啓成
京都府立鳥羽高等学校 教諭
京都府立鳥羽高等学校教諭。平成22年度京都府現職教育職員長期研修の派遣教員として、京都大学高等教育研究開発推進センターにて研修。平成26年度若手英語教員米国派遣交流事業の派遣教員として、アイオワ州立大学にて研修。意味順関連としては『明日の授業に活かす「意味順」英語指導理論的背景と授業実践』(共著:ひつじ書房)がある。また単著としては『リテリングを活用した英語指導 理解した内容を自分の言葉で発信する』(大修館書店)があり、この著書に対して一般財団法人語学教育研究所から2022年外国語教育研究賞が贈賞された。
フランチェスコ・ボルスタッド
奈良県立医科大学 臨床英語主任教授
奈良県立医科大学臨床英語主任教授。京都大学工学部科学英語や京都府立大学大学院科学英語担当。ヴィクトリア大学ウェリントン修士課程および京都大学博士課程修了(国費留学)。ニュージーランド教員免許所有。25年間以上教育現場での経験を持ち、CLIL(内容言語統合型学習)や協働的教育の研究者を続ける。英語教育や医療関係の共著・論文多数。