「やりがい」を“働く理由”にすることは難しい
どの環境が最も用意しやすいかという視点を持つことが大事です。ただ単に種類を絞っただけではいけません。求められている環境を用意する際のコストを考えましょう。
たとえば、用意しにくい環境として一番わかりやすいのは「高い収入が得られる」という環境です。収入は働いたことによる対価ですので、どこの企業に行っても仕事をすることで得ることはできます。
ですからこれを「この会社に勤める理由」にまで昇華させるには、「同業他社よりも高い収入」でなければならないということになります。
給与は本来その人が発揮した貢献度に合わせて支払われるものですが、この会社にいる理由として無条件に「同業他社よりも高い収入」を求めている人には、それによって給与を上下させることができません。つまり高コストになってしまうのです。
「他社よりも充実した福利厚生」を求めている人も同様のことが起こります。また、「良好な人間関係」や「やりがい」を求めている人に環境を合わせることも大変です。その人の望む環境をつくることと会社が目指す姿が必ずしも合致しないからです。
ということは、会社は残る「成長・スキルアップ」を望む求職者に合わせた環境を整えればよいわけです。これによって会社が困ることはまったくありません。なぜなら会社も社員の成長を期待しているからです。利害が一致します。
その点でいうと、新たな企業に自分の地位の向上を求める人とも利害は一致します。「よい会社で働きたい」とか「自分の後ろ盾になってくれるような企業に属したい」という希望と、会社が成長してそのような会社になろうとしていることが合致するからです。
当然それに応えるために必要なコストもありますが、それは後々回収できるので広義では投資になるわけです。
採用する際には「この会社で成長したい・スキルアップしたい。そして企業の成長に貢献したい」という人に絞り、そしてその人にとって快適な環境を築いていけばよい、ということになります。
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