※画像はイメージです/PIXTA

自主性の尊重、自分で考える力の養成……こうした観点から、部下に目標を設定させているという組織も多いのではないでしょうか。しかし、この体制で組織を率いると、なかには「努力をしなくても達成できそう」という基準で設定した低い目標に甘んじる部下がでてくるものです。そうした部下はなぜでてきてしまうのでしょうか? 根本的な原因をみていきます。

「ボトムアップ式目標設定」の2つの注意点

書籍『伸びる会社は「これ」をやらない!』のなかで紹介されている「目標設定についての考え方」です。 部下からのボトムアップ式の目標設定には「自分で設定した目標に責任を持たせる」という観点からメリットがあります。

 

しかしこの体制を採用する場合は、次の2点に注意する必要があります。

 

1. 「低い設定」を許さない

いくらボトムアップ式で目標を設定するからといっても、その目標を許可するかどうかの権限は上司が握っているべきです。「なんでもいいから自分で目標を決めて頑張れ」というスタンスでは、達成だけが目的の低い目標を設定する部下が出てきてしまうからです。

 

「自分で決めた目標だから、自分で変えてもいいだろう」と考える部下が生まれる可能性もあります。 あくまでも決定するのは上司であり、部下の目標設定を承認するという上司としての作業を怠ってはいけません。

 

2. 評価の基準となるのは「上司が求めることに対する達成度」

部下が低めの目標設定をするのは「(自分が決めた)目標に対する達成度」が評価基準だと考えているからです。しかし本来は、目標は上司が決定するものであり、「上司が求めることに対する達成度」が評価基準になるべきです。

 

部下は上司に評価されるよう仕事をする存在です。目標設定に関するすべてを部下に一任するということは、そうした本来の機能を放棄するということです。ボトムアップ式の目標設定においても、上司は上司としての責務を果たさなければなりません。

 

この2点からいまの体制を見直し、お互いの本来の役割を明確にしておきましょう。

 

参考リンク:『伸びる会社は「これ」をやらない! 』

「X理論・Y理論」から部下と組織の関係を調整する

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

マサチューセッツ工科大学(MIT)元教授のダグラス・マグレガーは1960年に「X理論・Y理論」というモチベーション理論を提唱しました。X理論は性悪説に立った人間の見方で、人間を以下のような生き物だと考えます。

 

・仕事が嫌いで、なるべく仕事はしたくない。

・誰かからの脅しでもなければ目標を達成できない。

・自分で考えて行動するよりも、命令されて動くほうがいい。

 

これに対してY理論は性善説に立ち、人間を以下のような生き物だと考えます。

 

・仕事は人生における満足感の源泉だと考えている。

・自分の目標のために努力する。

・自己実現の欲求などを満たすために、自ら行動する。

 

低めの目標設定に甘んじる部下は一見するとX理論における人間観に一致するように思えます。しかしマグレガーはこの理論を通じて世の中の組織が、従来型のX理論由来のマネジメントではなく、Y理論由来のマネジメントへ移行していくことを望んでいました。

 

ではどうするべきなのでしょうか。 Y理論におけるマネジメントを成立させるには、「本人の欲求や目標と企業目標を明確化し、双方を調整する」という作業が必要不可欠です。

 

したがって「X理論・Y理論」に基づけば、低い目標設定に甘んじる部下というのは、自分の欲求や目標と企業目標が一致していないと感じているから、低い目標設定に甘んじていると考えられるのです。このとき必要になるのは「部下がなにを考え、組織がなにを考えているか」のすり合わせであり、それに基づいた目標設定方法のレクチャーです。

 

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