【事例あり】粉飾決算は必ずバレる!「3種類の決算書」を作ろうが…巧妙な手口を使おうが…結局「決算書」から見破られるワケ【元融資担当者が解説】

【事例あり】粉飾決算は必ずバレる!「3種類の決算書」を作ろうが…巧妙な手口を使おうが…結局「決算書」から見破られるワケ【元融資担当者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業が金融機関から好条件で融資を引き出すため等の目的で「粉飾決算」をすることがあります。しかし、どのような巧妙な手口を使おうと、結局は「決算書」から見破られることになります。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもつ行政書士の黒木正人氏が著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、決算書を手掛かりに粉飾決算を見破る方法について解説します。

3つの決算書を用意していたケース

建設会社などでよく見かけますが、売上が毎期大きく変動しているにもかかわらず、毎期黒字ではあるものの少額利益の計上が続いている決算書があります。

 

建設土木業では、収益の前倒し計上、費用の先送りなどの粉飾がよく行われますが、建設土木業特有の収益基準である「工事完成基準」と「工事進行基準」を工事ごとに使って売上・利益の調整が行われることがあります。

 

建設土木工事が完成し、引渡しが完了したことをもって売上高・収益・原価を計上する「工事完成基準」によって売上高を計上している場合は、実際に引渡しが完了していないにもかかわらず、操作によって売上高を計上することが可能です。

 

また工事の進捗状況に応じて、決算ごとに売上高・収益・原価を計上する「工事進行基準」においても、請負金額や進捗状況などの見積もりを操作することにより、売上高を過大に計上することが可能となります。

 

この粉飾を見破るには、工事ごとの明細表を取り受けて、工事の進捗状況、代金の入金状況、収益の状況を一件ずつ確認するしかありません。

 

決算書の連続性がないことで粉飾が判明したケースもあります。取り受けた決算書が微妙に前期の決算と継続性がないことに気づき債務者に確認したところ、税務署用・金融機関用・取引先用の3つの決算書を作成していたケースがありました。

 

いつもは金融機関用の決算書をもらっていたのが、税務署用の決算書を間違って届けたことにより粉飾が判明しました。

 

一般的に正しい決算書を徴求するコツとしては、税務署の受付印のある申告用の明細書のついた決算書を徴求する「TKCモニタリング情報サービス」で、顧問税理士から直接決算書を入手する方法があります。

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企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

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