【事例あり】粉飾決算は必ずバレる!「3種類の決算書」を作ろうが…巧妙な手口を使おうが…結局「決算書」から見破られるワケ【元融資担当者が解説】

【事例あり】粉飾決算は必ずバレる!「3種類の決算書」を作ろうが…巧妙な手口を使おうが…結局「決算書」から見破られるワケ【元融資担当者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業が金融機関から好条件で融資を引き出すため等の目的で「粉飾決算」をすることがあります。しかし、どのような巧妙な手口を使おうと、結局は「決算書」から見破られることになります。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもつ行政書士の黒木正人氏が著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、決算書を手掛かりに粉飾決算を見破る方法について解説します。

ケース別のチェックすべき具体的な項目

売掛金・短期貸付金・長期貸付金に不良資産が計上されているケースでは、勘定科目明細に、いつも同じ先が同金額で計上されていないかをチェックします。

 

買掛金については一般的に粉飾をすることはないと考えがちですが、買掛金を一部計上しない、つまり仕入れを過少計上して利益を出す粉飾ができます。

 

この粉飾は、翌事業年度に支払いが発生しますから、一回限りの粉飾となり、いつまでも続けられる売掛金の粉飾との違いがあります。

 

買掛金の粉飾は利益を平準化するために行われます。

 

例えば、今期は1,000万円の赤字になりそうですが、来期において3,000万円の黒字が見込まれる場合に、今期決算において買掛金2,000万円の計上漏れの粉飾を行います。そうすると今期は▲1,000万円(赤字分)+2,000万円(買掛金計上漏れによる粉飾分)で1,000万円の黒字となります。

 

来期は、3,000万円(黒字見込分)-2,000万円(粉飾による買掛金計上分)で1,000万円の黒字となり、2期連続黒字を計上できるというわけです。このように費用を計上するタイミングを一部ずらすことで利益操作ができます。

 

こうした粉飾を見破るには、仕入債務回転期間を算出し同業同規模他社平均と比較します。仕入債務回転期間(回転日数)は、仕入債務が売上高の何日分あるかを示すもので、「仕入債務÷(売上原価÷365)」で算出できます。その異常値がないかを確認するほか、内訳書を前期と比較してみて、仕入債務の明細に違和感がないかをみることで発見できます。

 

内容のわかりづらい勘定、すなわち仮払金、前渡金、前受金などが多額にある決算書も気をつけなければなりません。その内容を調べてそれがすぐに現金化できないものであれば粉飾が疑われます。

 

減価償却未計上、定率法から定額法に変更などによる減価償却費の操作については、金融機関の行職員は皆理解していることなので、それが粉飾と言えるかどうかは微妙です。

 

翌期の売上を今期に計上するといった売上高の架空計上、今期発生している費用を、翌期に繰り延べるといった費用の粉飾は、売上高利益率の比率が跳ね上がることで見抜きます。

次ページ3つの決算書を用意していたケース
企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

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