「リーマンショック」「コロナ禍」…中小企業を10年サイクルで襲う「事業環境の激変」に耐え持続性を高めるための「成長マトリクス」とは【元融資担当者が解説】

「リーマンショック」「コロナ禍」…中小企業を10年サイクルで襲う「事業環境の激変」に耐え持続性を高めるための「成長マトリクス」とは【元融資担当者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業にとって、どのような逆境・アクシデントに見舞われても生き残っていくことは至上命題です。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもち現在は行政書士として活躍する黒木正人氏が、著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)から、企業の持続性を高めるための戦略を考えるうえで役に立つ「アンゾフの成長マトリクス」について解説します。

新製品開発戦略・新市場開拓戦略のメリット

2つ目のマトリックスは、新規製品×既存市場の「新製品開発戦略」です。これはいままでの市場に、新しい製品やサービスを投入して、売上を拡大しようとする戦略です。

 

既存市場のニーズに対応した製品やサービスを開発すること、競合と差別化を図ることができる製品やサービスを開発することがポイントになります。

 

戦略(1)は、新商品の重ね売りです。これは既存客に対して信頼があるからこそできる方法で、たとえばMacのPCを使っている人にi-phone、長く使え壊れなかったカシオの電卓愛好者にGショック、会計事務所が税務顧問先に企業防衛保険やMAS監査(企業のPDCAを回す会議商品)を売るイメージです。

 

新商品を作り続けるのは、企業の宿命です。同じ商品が10年も売れ続けるほど、現在の外部環境は甘くはありません。新商品を作るのであれば、既存客に売れる新商品を開発するのが得策です。

 

お客様は、新しいものを使ってみたいという欲求があると同時に、誰も使ったことがないのに大丈夫かという不安が付きまといますが、既存のお客様であれば、企業との過去の信頼関係によりこの不安が薄くなるのでうまくいきます。

 

3つ目のマトリックスは、既存製品×新規市場の「新市場開拓戦略」です。これは、既存の製品やサービスを新しい市場に投入する戦略です。新規市場として一番思い浮かべるのが、地域だと思います。

 

たとえば岐阜の大手会計会社が名古屋に進出するというイメージです。

 

これは自社の信頼を新しい地域で売る戦略で、既存製品の海外進出・海外展開も新市場開拓戦略の一例といえます。

 

新規市場は、地域だけではありません。たとえばアデランスは当初は男性アイテムでしたが、今では女性アイテム(ウィッグ)が主流となっています。

 

当初は働く男子がターゲットだったワークマンが、ワークマン女子、レディスワークマン、フィッシングワークマン、トレッキングワークマン、山ガールワークマンなど新市場には限りがありません。

 

4つ目のマトリックスは、新規製品×新規市場の「多角化戦略」です。これは新しい市場に新しい製品やサービスを投入する戦略です。

次ページ多角化戦略のメリット・デメリット
企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

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