(※写真はイメージです/PIXTA)

松田文雄氏の著書『「心の育ち」と「自分らしさ」―子育てと自戒―』より一部を抜粋・再編集し、「交換条件によるしつけ」と「期待させるしつけ」についてみていきます。

「努力は必ず実るよ」よりも、子どもに伝えたいこと

人一倍努力したにも関わらず、就職も仕事も思うようにいかず、「こんなはずではなかった」という事態になったときに、期待と背中合わせの「ガッカリする」挫折体験が待ち構えています。「嘘じゃないか!」と、もっていき場のない気持ちや、認められなかった怒りを親に向け、親を責めることで不安や怒りの捌け口にすることにもなりかねません。

 

自責感や自己評価の低下、無力感、意欲低下にもつながります。親のほうも「あなたの努力が足らないからでしょ!」と反論すれば泥沼状態になります。

 

“世の中は結果がすべて”、“終わりよければすべてよし”という言葉がありますが、結果が出ようが出まいが、努力することそのものに価値があるという考え方を伝えることが必要であり、結果よりも努力をしている姿を評価することが大切でしょう。結果が出れば儲けものですから。

 

有名な数学者の秋山仁先生の言葉があります。「努力は報われず、されどチャレンジせよ!」です。もう少し詳しく引用しますと「努力は報われず、正義は滅びる。だけど、それでも努力するのが美しい人生だ」です。

 

何ごとも諦めないで努力を続ける気持ちが大切というこの言葉には、暗に「いつか報われるかも?」という言葉が隠されているかもしれません。諦めないくじけない前向きな気持ちと、そのような前向きな態度を認められる体験がその後の人生に役立つことを伝えたいものです。

 

 

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松田 文雄

東海大学医学部医学科卒業後、国立精神神経センター診断研究部流動研究員などを経て、東海大学大学院医学研究科修了。

現在、医療法人翠星会松田病院理事長・院長。精神科・児童精神科医師。

医学博士。精神保健指定医。日本精神神経学会専門医。日本精神神経学会指導医。子どものこころ専門医。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『「心の育ち」と「自分らしさ」―子育てと自戒―』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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